2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of Middle-Early Modern Arts and Sciences in Tsuruya Nanboku Kabuki
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20K00309
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
山下 則子 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (40311162)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中国小説から取材した歌舞伎 / 歌舞伎の「悪婆」の演技造型 / 出版物から取材した歌舞伎 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は世界的な新型コロナウィルス流行のため、調査や国際研究集会での成果発表のために国内外に出張する従来の活動は不可能だった。 しかし、ZOOMによるリモート形式で、国文学研究資料館歴史的典籍国際共同研究中間発表会(2020年9月11日)にて、当科研費による成果を、「死体を用いた詐欺―南北作歌舞伎『お染久松色読販』の中国小説利用―」と題して、アメリカ人及びイタリア人日本文学研究者対象に研究発表を行い好評を得たものを基にし、2021年2月3日~2月5日に、コロナウィルス流行のために5ヶ月延期された後リモート形式で開催された、ヴェネチア大学カ・フォスカリ主催の国際集会"Images from the Past Intertextuality in Japanese Premodern Literature"にて、成果発表"Evil of the Lower Middle classes:What Tsuruya Nanboku's Kabuki Learned from Japanese Classics and Chinese Texts"をオンラインにて行い、好評を得た。 なお、その後、国文学研究資料館歴史的典籍国際共同研究会の第2回目のリモート式中間発表会でも、当科研による研究成果を「騙りをする女―南北作歌舞伎『お染久松色読販』の中国小説受容―」と題して、鶴屋南北と提携関係にあった歌舞伎役者に注目した継続的な発表を行い、これも好評であった。 また、鶴屋南北作歌舞伎『時桔梗出世請状』における主人公武智光秀(明智光秀)の人物造型や、南北等の狂言作者が作劇上の工夫を様々な出版物から得ていた可能性について、国立劇場での上演に合わせて刊行された歌舞伎公演解説書上に、解説文を書き、一般の方達への啓蒙活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は新型コロナ流行のために、調査や成果発表のための出張が不可能であり、様々な面で不便を強いられた。 調査は所蔵者が対応不能との回答があり、行うことができなかったのは、研究遂行上大変困難な状況になったと言わざるを得ない。一方、研究成果発表は、実際に現地に出張することが不可能であっても、ZOOMを用いてリモート形式で共同研究会や国際集会での発表を行うことが可能であり、その結果好評であった。 以上のことから、コロナ流行の状況下では、おおむね順調な進捗状況であったと言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス流行の影響がいつまで続くのか予断を許さないが、来年度も調査や成果発表のための出張は難しいことが予想される。 成果発表はリモート形式で代替えできる可能性があるが、そのためのデジタル環境整備が必要になろう。 最も心配されるのは、所蔵者が資料調査を許可してくれない上に、資料蒐集にも対応してくれない事である(東京大学国語研究室など)。現在多くの資料がデジタル公開されてはいるが、全てではない上に、歌舞伎台帳は大部で研究者も少ないためか、デジタル化が進んでいない。加えてコピーの郵送などにも応じてくれない場合、研究が滞るのは当然である。 2020年度、2021年度の研究の滞留分を、資金執行可能な時期を先延ばしにすることで是非検討して欲しい。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウィルスの世界的流行により、調査や国際集会での成果発表のために出張することができなかった。加えて、資料を収集するために所蔵先にコピー等を依頼しても、所蔵先が対応してくれず、資料の撮影や郵送すら断られるという状況であった。 オンラインでの国際集会で、リモートによる成果発表をするため、最新型のPC等デジタル環境を整えること以外には、経費を使用することが不可能に近かった。 そのため、次年度への使用額が生じた。
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Remarks |
担当は「東海道」の芸能と文学―江戸時代の旅と浮世絵―、蘇る「東海道五十三次」の古典籍解説
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Research Products
(7 results)
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[Book] 日本古典と感染症2021
Author(s)
高橋則子 ロバート キャンベル編集
Total Pages
327
Publisher
KADOKAWA
ISBN
978-4-04-109942-1
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