2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00316
|
Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
白井 伊津子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (40323224)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平舘 英子 (平舘英子) 日本女子大学, 文学部, 研究員 (00099269)
西 一夫 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20422701)
田中 真理 九州産業大学, 基礎教育センター, 講師 (20573504)
奥田 俊博 九州女子大学, 人間科学部, 教授 (30343685)
奥村 和美 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (80329903)
内田 賢徳 京都大学, 人間・環境学研究科, 名誉教授 (90122142)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 萬葉集 / 萬葉集巻十六 / 歌物語 / 説話 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、『萬葉集』巻十六の全歌について、緻密な読解分析を行っている。題詞・左注・歌の本文異同の検討、題詞・左注の漢語の出典の調査、歌の用字、歌と字音との関係の検討、奈良時代の衣食住に関わる生活全般や仏教思想、官人の実態解明など、多方面にわたる先行研究の調査を踏まえるのは当然のことながら、さらにあらたな視点、すなわち、古代に生きた人々の、「戯笑」性や「哀悼」などの質的な側面、「生死観」などの深層部をあぶり出すことを意識しながら、歌の意味理解を深めている。2022年度には、注釈書の形で集約し、公刊する方向で、本年度は、Zoomなどを用いながら、毎月2回の割合で、一部公開の研究発表会を都合24回開き、担当者による担当歌の研究報告をもとに検討を加えていった。その結果、7割近くの歌についての検討を加えられることとなった。 各々の担当者は、歌の調査、検討の過程において生じた課題をさらに深く追究することで、古代文学全般の研究に波及する論文の執筆を行い、成果として発表することにもつながっている。 また、関連する研究分野(科学研究費基盤研究B)「敦煌書儀・六朝尺牘文献の古代日本への受容実態の展開」(代表:信州大学 西一夫)と協同して、「萬葉集巻十六を読む」をテーマとする、オンライン講演会(奈良女子大学古代学・聖地学研究センター主催 第17回「若手研究者支援プログラム」第二部講演会)を8月29日にオンラインにて開催することで、現時点の研究成果を公開するとともに、関連分野の専門的知見を得る機会を設けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
典籍の調査などを十分に行えない状況下ではあるが、Zoomなどを用いて一部公開の研究会を開催し、個々の研究発表をもとに質疑応答などを活発に行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
『万葉集』の巻16以外の伝説的な歌、記紀歌謡と物語の関係分析に範囲を広げ、上代全般にわたる、歌と由縁(物語)と、いわゆる伝説的な内容の歌の形成について質的なあり方の検討をはかる。具体的には、2年度3年度の成果をもとに、主な役割分担を決めて、中国文学の受容、遊戯性、文体、モチーフ、地域的特性、即興性、説話的意匠など、多面的な視点からの考察を、定期的な研究会において積み重ねていく。なお、昔話や伝説というものの形成に関わる比較文学や理論的な見地からの専門的知見を得るためにシンポジウムなどの機会を設け、理論的な側面を固めていく。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染症の影響により、典籍の調査や講演会・シンポジウム等への参加がかなわなかったため。
|
Research Products
(9 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 日本説話索引 第2巻2021
Author(s)
説話と説話文学の会(白井伊津子他)編
Total Pages
1089
Publisher
清文堂出版株式会社
ISBN
978-4-7924-1460-3
-