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2022 Fiscal Year Research-status Report

冷戦期における日本文学の世界化―米国クノップフ社・グローブプレス資料による

Research Project

Project/Area Number 20K00322
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

服部 訓和  日本大学, 商学部, 准教授 (40612784)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywordsサイデンステッカー / ハロルド・シュトラウス / 翻訳 / 寺山修司
Outline of Annual Research Achievements

令和4年度に入り、海外渡航を伴う資料調査が可能となったため、テキサス大学オースティン校ハリー・ランサム・センターを訪問し、Alfred A. Knopf Inc. Recordsの調査を行うことができた。未調査の部分も残っているが、Knopf社が編集者であるハロルド・シュトラウスを中心に日本文学作品の出版プロジェクトを立ち上げ、翻訳者エドワード・サイデンステッカーの協力を得ながら、大佛次郎、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、安部公房、野坂昭如等の作品を選定、翻訳、出版していく過程の概要については明らかになった。調査した資料は主に書簡だが、これらには作家直筆の書簡も含まれており、全集等に未収録の書簡も確認できた。
『The Atlantic』1955年1月号での日本特集の頃からアメリカにおける日本への関心は徐々に高まっており、Knopf社の日本プロジェクトもそうした関心の高まりを受けて実施されたものである。多くの読者は日本および日本文学に関する知識が殆どなかったため、翻訳に際してはアメリカの読者が理解できるように文化的は背景を説明した序文を付し、「蓼食う虫」を「Some Prefer Nettles」と訳すなど、文化的なコンテクストを超える翻訳が試みられることになった。上記資料からは、そうした試行錯誤の過程を辿ることができ、それらは翻訳出版の実際を跡づけるうえで興味深いものであるが、更に興味深いことは文化的な際を越境する行為としての「翻訳」概念それ自体がここで成立していると考えられることである。この点はさらに検討を進める必要がある。
上記の資料調査の成果とは別に、1950年代における日本文学の世界化の一端を示すものとして、後に世界的な評価を得ていく寺山修司の戯曲作品「忘れた領分」を、戦後におけるパウル・クレーの世界的な再評価の関わりから検討した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本研究の主たる課題は在アメリカ資料の調査にあるが、令和2年度および令和3年度については海外渡航が不可能であった。そのため旅費の執行ができず、全般的に遅れが生じている。
令和4年度においてはテキサス大学オースティン校ハリー・ランサム・センターでの資料調査が実施でき、多くの資料を収集することができたが、資料調査が実現したのは年度末のことだった。現在のところ、収集した資料を整理、分析している段階であり、調査自体も継続中であるため、これまでに遅れを取りもどすには至っていないのが現状である。

Strategy for Future Research Activity

研究期間の延長を認めていただいたため、令和5年度において引き続き未完了の資料調査を行う予定である。資料調査は夏期と冬期の2度行うことを予定し、過年度の遅れを可能な限り取りもどしたいと考えている。訪問しての調査を検討しているのは、テキサス大学オースティン校ハリー・ランサム・センターのほか、シラキュース大学蔵のGrove press recordsおよびコロラド大学ボールダー蔵のEdward G. Seidensticker papersである。また並行して収集した資料の整理、分析を行い、令和5年度中に調査資料に関する口頭発表ないしは論文を公にする予定である。

Causes of Carryover

補助金の支給開始以降、新型コロナウィルスの流行に伴う渡航制限が続き、本研究の中心的な課題となる米国での資料調査を実施することが出来なかった。令和4年度末に調査を実施できたが、調査は未完了であるため、多くの旅費に次年度使用が生じている。令和5年度も渡航が可能と思われるので、複数回の資料調査を行い、また並行して収集資料の分析を行うことで研究課題の達成を期する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 線描の自由 : 寺山修司「忘れた領分」、一九五〇年代のパウル・クレー、谷川俊太郎「愛 paul klee に」2023

    • Author(s)
      服部 訓和
    • Journal Title

      稿本近代文学

      Volume: 46 Pages: 166~182

    • DOI

      10.15068/0002006783

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2023-12-25  

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