2022 Fiscal Year Annual Research Report
明治20年代における自然思想の形成に関する研究:民友社・宮崎湖処子を中心に
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20K00325
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
永井 聖剛 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 教授 (50387833)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 民友社 / 自然思想 / 徳富蘇峰 / 国木田独歩 / 表現史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も引き続き、①民友社の刊行物に見られる「自然思想」の調査と検討、②『帰省』を中心とする宮崎湖処子の小説の再検討、③『ヲルヅヲルス』本文の検討、の3つのテーマについての研究をおこなった。 研究の進展が見られたのは主にテーマ①においてであり、2022年11月に開催されたTCSセミナー第15回「「自然」と「作家」のあいだ 人間主体を乗り越える表現の可能性」(於名古屋大学)において研究発表「主語の消し方 方法としての〈自然〉」をおこない、これに基づいた論文「主語の消しかた 方法としての〈自然〉」(2023年3月、『愛知淑徳大学大学院文化創造研究科紀要』第10号)という成果も得た。これは、2022年1月に刊行した単著『自然と人生とのあいだ 自然主義文学の生態学』(春風社)においての自然主義文学にかかる研究成果を民友社文学(徳富蘇峰、国木田独歩)に接続させることを目論んだものである。また、論文「自然と同化せよ 徳富蘇峰、経済と文学との交叉点」(2023年3月、『愛知淑徳大学論集創造表現学部篇』第13号)も発表した。民友社主である徳富蘇峰の「自然思想」の解明は、本研究全体の中心を占める課題だっただけに、これらの成果を残せたことは意義あることであった。 テーマ②については、年度内の発表はかなわなかったが、論文「〈自然児〉の誕生と死 宮崎湖処子「自然児」の位置」を学会誌に投稿中である。テーマ③については、『ヲルヅヲルス』とその原典であるMyers『Wordsworth』(1881)との比較検討を前進させたものの、①・②に注力した結果、目に見える成果を得るには至らなかった。今後の研究に期したい。
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Research Products
(3 results)