2021 Fiscal Year Research-status Report
「出雲国造神賀詞」神話の研究:平安朝初頭の祭儀神話としての考察
Project/Area Number |
20K00333
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Research Institution | National Institute of Technology(KOSEN),Numazu College |
Principal Investigator |
小村 宏史 沼津工業高等専門学校, 教養科, 教授 (50734688)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 出雲国造神賀詞 / 出雲国造 / 神話 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、「出雲国造神賀詞」の神話的言説のうち、当該祝詞固有の言説といえる大和四山への鎮座記事について、従来説(飛鳥・藤原京時代の所産)の見直し含め、当該言説の意義について明らかにすることを中心に研究活動を行った。大和と出雲をつなぐ存在としてアヂスキタカヒコ(ネ)に注目し、三輪山の太陽祭祀との関連や、平安期初頭の「祟」への畏れによる玉体の不安といった背景に目を向け、結果、四神鎮座段は、太陽の運行とかかわる東西軸を意識したもので、天皇(日の御子)の玉体に霊力を注入する儀式としての説得力を高める意味を有すると同時に、王権の起源から玉体を守護し続けてきた存在として出雲国造を顕彰する意味を有したと考察した。成果発表の準備をすすめていたが、その過程の中で、大和葛城に本貫を有し、出雲にも勢力基盤を有する氏族・日置氏について関連して検討する必要があることが明らかになったため、より完成度の高い形で発表すべく現在成稿化をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度に予定していた成果発表ができなかったためやや遅れていると判断した。ただしそれも新たな観点の発見による追記・修正が求められたためであるため、研究の進展自体には影響ないと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルス禍における行動の制約はあるが、可能な限り資料探索を行う。調査に支障が生じた場合は、所属学会や過去の共同研究で構築した人脈を活用し、 必要な資料の検索等の情報を得られるよう、速やかに適切な研究者にあたるなどの対策を取る。
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Causes of Carryover |
本年度物品は書籍(研究書)購入に使用したが、その結果726円の残額が生じた。この残額のみでは研究書購入には不足するため、次年度使用額として適切に使用するつもりである。
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