2020 Fiscal Year Research-status Report
A scholarship network of the late medieval period with a focus on the shômonos
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20K00341
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蔦 清行 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 准教授 (20452477)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抄物 / 五山文学 / 禅僧 / 注釈 / 講義 / 黄山谷(黄庭堅) / 蘇東坡(蘇軾) / 古文真宝抄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、中世後期の学問のネットワークを明らかにしようとするものである。中世後期の文化と学問を知るには、抄物はどのように読まれたのか、そこで得られた知識はほかの作品を読むときにどのように用いられたのか、といった、学説間の有機的なつながりを究明していく必要がある。それは、より広い観点から言えば、抄物を文化史的資料として利用しようとするものでもある。 本年度成果を公式に発表した研究は、次の二点である。 1,「抄物研究から ―翻訳・注釈としての訓点資料と抄物―(『訓点語と訓点資料』146輯、2021年3月刊行)」 本稿は、訓点資料の研究者に向けて抄物研究の立場から行った提言であり、訓点資料を抄物資料と同様に翻訳・注釈資料として研究すること、およびその際の問題点と解決方法を提言した。 2, 黄山谷(黄庭堅)の詩集の抄物『黄氏口義』(建仁寺両足院蔵、二一巻・二二冊、林宗二筆、1560-1567年写)を主たる対象とする研究会において、「送王郎」詩の注釈の輪読を担当した。(5月23日・6月13日・7月11日・8月8日・9月5日・10月3日、浅見洋二氏(大阪大学大学院文学研究科)との共同発表) 本年度は、新型コロナウィルス感染症対応などのために、全体的に研究の進捗ははかばかしいとは言えなかった。ただし、オンラインによる研究発表や、紙・マイクロフィルム媒体資料のデジタル化とそれによって可能になる共有化は進めており、新たな研究の形態による進め方を準備していた段階とも位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文一篇を公刊し、研究発表も6回(対象は同一)にわたって行ったが、研究計画の中心として設定した中世後期の学問のネットワークの研究、特に黄山谷の詩の注釈についての『古文真宝抄』と山谷抄諸本との比較については、実際の作業が進んでいない。ただし、「研究実績の概要」の項で述べたように、オンラインによる研究発表や資料のデジタル化とそれによって可能になる共有化は進めており、本年度は新たな研究の形態による進め方を準備していた段階とも位置づけられる。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れているものの、基本的には当初の計画どおり、『古文真宝前集抄』に収録される蘇東坡・黄山谷の詩の抄文の出所を研究する。本文データに関しては既にデジタル化されており、作業にとりかかることが可能である。 新型コロナウィルス感染拡大の影響により、図書館・寺院等での調査は制限される可能性がある。一方で研究成果を発表する学会・研究会については、Zoom等を用いたwebミーティングの形が普及しており、従来よりも参加のハードルが下がっており、積極的に発表の機会を見付けていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)