2021 Fiscal Year Research-status Report
会津地方の俳人来翰集及び句帖解読による文化文政期の俳諧研究
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20K00345
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
二村 博 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (00733669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 俳諧 / 俳人書簡 / 文化文政期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、江戸時代後期の会津俳人に宛てた全国の俳人からの来翰を解読することと、文化文政期に活動した喜多方の関本如髪が各地を旅して集成した発句帖を解読することにより、近世俳諧文化を実証的に解明することである。 3年計画の2年目にあたる令和3年度は、昨年度購入した如髪集成俳人発句帖と、大阪府立大学が所蔵する如髪集成来翰集(全4巻)の調査を行った。その結果、来翰集に関しては、1、2巻が如髪宛の書簡(文化・文政期)、3、4巻が巨石宛の書簡(安永・天明期)が中心の書簡群になっていることが判明した。1、2巻の調査終了段階で、化政期資料についての調査が終えられたため、令和4年度に予定していた研究発表を予定より1年早めることにした。 その成果として、前年の「関本如髪集成来翰集(第一巻)」に引き続き、令和3年9月には論文「関本如髪集成来翰集(第二巻)」(『人間科学』第39巻第1号)を発表することができた。さらに10月に開催された第72回俳文学会全国大会において、研究発表「関本如髪集成染筆帖‐化政期会津俳人の西国旅行」を行った。この研究発表に基づき、令和4年3月には論文「化政期会津俳人の西国旅行‐『関本如髪集成染筆帖』を中心に」(『連歌俳諧研究』第百四十二号)を発表した。東海道を中心とした商用ルートを通じて家業と俳諧を両立させた化政期俳人の交流実態を明らかにすることができた。また、論文「関本如髪集成来翰集(第三巻 巨石宛)」(『人間科学』第39巻第2号)を令和4年3月に発表して安永・天明期の書簡群についても研究成果を示した。 3年計画の最終年となる令和4年度には、来翰集の第四巻の解読を通じて安永・天明期の書簡についても調査を行い、論文によって調査の総括を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文化文政期の資料調査が進んだため、当初予定していた研究発表を1年前倒しして行うことができた。一方で、安永・天明期の資料調査の続きを、最終年である令和4年度に行うことにした。このような順序の入れ替えはあったものの、調査作業は計画当初の年数で実施が可能であると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
来翰集第4巻は残った資料を巻子に貼ったもののようで、これまでの調査よりはまとめることが困難であるが、最終年度に終えていきたいと考えている。また、関係俳書の調査が必要で、天理大学図書館、国文学研究資料館、会津図書館、須賀川図書館が所蔵する俳書を調査する必要がある。
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