2021 Fiscal Year Research-status Report
Research of "Self-narrative" literature: The application of quantitative method and the comparative perspectives on "Watakushi shosetsu sei"
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20K00347
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
梅澤 亜由美 大正大学, 文学部, 教授 (00710427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 志門 東海大学, 文学部, 教授 (00726424)
小林 洋介 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (00757297)
河野 龍也 実践女子大学, 文学部, 教授 (20511827)
大原 祐治 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (40554184)
小嶋 洋輔 名桜大学, 国際学部, 教授 (50571618)
井原 あや 大妻女子大学, 文学部, 講師 (30882302)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 私小説 / 自己語り / 自伝的小説 / 国際比較 / 東アジア文学 / 計量的分析 / 日記 / エッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、COVID-19の影響による研究の遅れを立て直す期間となった。結果として、個人による〈私小説性〉の調査、Zoomを活用しての研究会、個人による論文発表等の成果を得た。具体的には、以下3点である。 ①〈私小説性〉の調査については、これまで蓄積してきた情報の一部を「「私」から考える文学史の会」WEBサイト(https://watakushikara.wordpress.com/)にて公開を開始する。データについては、サイトの視聴者も利用可能な仕様となっている。また、情報収集として、海外の私小説研究に関する調査を行った。 ②シンポジウム1回、定例研究会1回をオンラインにて開催した。11月14日は「佐藤春夫を現在に展く―河野龍也『佐藤春夫と大正日本の感性―「物語」を超えて』を端緒に」というシンポジウムを開催した。坂口周氏(福岡女子大学)、小澤純氏(慶應義塾志木高等学校)、和泉司氏(豊橋技術科学大学)による基調報告、河野龍也氏(実践女子大学)の講演、そして全体でのディスカッションを行った。2月27日研究会においては、山梨大学の尾形大氏による「戦後の伊藤整文学における私小説性の変遷」の研究発表が行われた。また、発表終了後、2022年度以降の指針について会議を行った。 ③個人による論文等の成果については研究成果欄に記載するが、研究提携による成果を1つ挙げておきたい。科研費プロジェクト「肉筆および活字資料の包括データベースに基づく近代日本の「日記文化」の発展的研究」(20K00300)の代表である田中祐介氏が編集する『無数のひとりが紡ぐ歴史 日記文化から近現代日本を照射する』(文学通信 2022)が出版され、本研究の分担者である大木志門氏の論考「水上勉文学における自己語りの諸相―「私小説」のプロトタイプ的理解の一例として」が掲載、自己語り文学に関する横断的な研究成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の進捗状況として、「やや遅れている」を選択してはいるが、この1年で初年度の遅れをかなり取り戻すことができたと考えている。各状況は以下の通りである。 ①本研究の1つめの柱である〈私小説性〉の調査、データ公開については、担当部分を個人が調査するため、比較的、順調に進んでいる。2022年度は、公開するデータの数を増やすことが目標である。 ②定例研究会については年間3回を予定していたが、オンラインによる2回の開催となった。そのうちの1回は公開によるシンポジウムであったので、成果としてはほぼ予定通りといってよいと考える。一方、研究協力を予定していた中央大学政策文化総合研究所「東アジアにおける文学と社会課題」プロジェクトチーム(代表:広岡守穂氏)の研究が終了したが、こちらはCOVID19の影響により、思うような成果を残すことができなかった。 ③本研究の2つめの柱である国際比較に関しては、若干の遅れが出ていたが、2021年度に計画の立て直しをすることができた。2020年度に予定していた西欧圏の研究者を招いての研究会は、2022年度Zoom等を用いて開催する予定である。また、協力者を招くだけでなく、国外の私小説研究の情報収集など、研究を進めることができた。2022年度以降は、東アジア圏の研究者との情報交換はじめ、国際シンポジウムの準備を進めたい。 以上のように、2021年度はおおむね予定通りに進んだ部分と、やや遅れている部分とがあるが、全体としてこれまでの研究の遅れをかなり取り戻すことができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、個人で可能な〈私小説性〉の調査を更に進めると同時に、研究計画の1つの柱であった西欧圏における私小説、自己語りの研究について、西欧圏の研究者と協力して進める。以下3点が、具体的な計画の方向である。 ①2021年度より公開を開始した〈私小説性〉のデータについては、引き続き個人の調査を進め、随時、WEBサイトでの公開を行っていく。また、新たな作家の調査のために、協力者を探し依頼していきたい。 ②状況を見ながら対面とオンラインを使い分け、3回の定例研究会(シンポジウムなど含む)を開催する。2022年度は特に、西欧圏の研究者を招いての研究会を行っていく。現在のところ、西欧圏の研究者2名に研究協力を依頼し、9月、翌年2月に研究会を予定している。なお、現在、国外の研究者1名に、更に依頼を進めている段階である。また、新たな試みとして、これらの成果について、WEBを活用して積極的に公開を行っていきたい。 ③前科研費研究において研究協力をしてきた東アジア圏の研究者と情報交換を行い、2023年度に向けて国際シンポジウム開催の可能性を探っていく。本研究は、科研費研究「〈私〉性の調査と〈自己語り〉文学との比較による日本「私小説」の総合的研究」(20K00347)を引き継ぐもので、この際の成果は東アジア圏の自己語りに関するものであった。本研究はこれらを発展させ、日本、東アジア圏、西欧圏と3つの地域における自己語り文学の研究を統合することであり、この最終的な研究目標に向けて計画を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、大きくはCOVID-19の影響による。具体的には、以下2点である。 ①海外渡航に制限がかかったため、2021年度予定していた東アジア圏の研究者4名を招いての研究報告会を開催することができなかった、そのための招聘費用を繰り越すこととなった。 ②国内の移動にも制限がかかり、定期研究会の開催が予定通り進行しなかった。よって、旅費を繰り越すこととなった。 これらの経費は2021年度に繰り越し、状況を見ながら研究計画を立て直していくこととなった。上記、①②の理由により、次年度使用額が発生した。
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Research Products
(13 results)