2022 Fiscal Year Research-status Report
Research of "Self-narrative" literature: The application of quantitative method and the comparative perspectives on "Watakushi shosetsu sei"
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20K00347
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
梅澤 亜由美 大正大学, 文学部, 教授 (00710427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 志門 東海大学, 文学部, 特任教授 (00726424)
小林 洋介 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (00757297)
河野 龍也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20511827)
大原 祐治 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (40554184)
小嶋 洋輔 名桜大学, 国際学部, 教授 (50571618)
井原 あや 大妻女子大学, 文学部, 講師 (30882302)
尾形 大 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00774233)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 私小説 / 自己語り / 自伝的小説 / 国際比較 / 東アジア文学 / 計量的分析 / 日記 / エッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、個人による<私小説性>の調査、および対面、Zoomを併用してのシンポジウム開催、個人による論文発表などの成果を得た。具体的には、以下3点である。 ①<私小説性>の調査については、個々人が継続して調査を続けている。成果の一部は、「「私」から考える文学史の会」WEBサイト(https://watakushikara.wordpress.com/)にて公開しており、2022年度も新たなデータを追加予定である。 ②研究会活動に関しては、対面とZoomを併用したハイブリッド形式を採用することで、有益な成果を得ることができた。本研究の柱の1つとして<自己語り>文学の国際比較があるが、2022年度は西欧圏の研究者を招いての公開シンポジウムを3回開催することができた。9月23日(金)「フランスにおける在日文学研究」ではフランス国立東洋言語文化大学(INALCO)講師の吉田安岐氏、2023年1月8日(日)「短歌における「私」」ではカーネギーメロン大学のクリス・ローウィー氏、2023年2月23日(木)「グローバル時代の〈私小説〉」では西南学院大学のユスティナ・ヴェロニカ・カシャ氏よる基調講演が行われ、その後ディスカッションを行った。これらシンポジウムの内容はWEBサイトでの公開を予定しており、2022年度の大きな成果と言える。 ③個人による論文等の成果については研究成果欄に記載するが、大きな成果として以下2つを挙げておきたい。大木志門編『島崎藤村短篇集』(岩波書店、2022年)は島崎藤村の自伝的小説、モデル小説などを集めた小説集であり、藤村の<私小説性>を考えるにあたって貴重な成果となっている。大原祐治『戯作者の命脈―坂口安吾の文学精神』(春風社、2022年)は、坂口安吾における自伝小説小説の意義について論じており、これまでの本研究の成果が反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の進捗状況として、「やや遅れている」を選択してはいるが、<自己語り>文学の国際比較研究をはじめ、初年度からのCOVID-19による研究の遅れはかなり取り戻せていると言ってよい。各状況は以下の通りである。 ①本研究の1つめの柱である<私小説性>の調査、データ公開については、担当部分を個人が調査するため、比較的、順調に進んでいる。「「私」から考える文学史の会」WEBサイト(https://watakushikara.wordpress.com/)では、4種のデータがすでに公開されている。これらのデータはサイトの視聴者も利用可能な形式になっており、さまざまな場で利用が可能である。2022年度も追加のデータ公開を予定しており、本研究が目的としてる<私小説性>に関する総合的な調査・分析のための準備はだいぶ整ってきたと言える。 ②本研究の2つめの柱である<自己語り>文学の国際比較に関しては若干の遅れが出ていたが、2022年度は大きな進捗を得ることができた。今年度は、年間3回の定例研究会をすべて西欧圏の研究者を招いての公開シンポジウムとして開催することができた。また、これらのシンポジウムをハイブリッド開催にすることで、韓国、中国、台湾といった東アジア圏の研究者の参加が可能となり、日本を起点とし東アジア圏、西欧圏からの視点を交えたグローバルな研究を行うという本研究の目的が大きく進展した。また、これらの内容をWEBサイトで公開することで、研究成果を広く共有できたという点でも大きく進捗したと言える。最終年度に向けて、日本、東アジア圏、西欧圏を射程とした総合的な<自己語り>文学の研究に向けて地盤が整ってきたと言える。 以上のように、2022年度は、全体としてこれまでの研究の遅れをかなり取り戻すことができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、1つめの研究計画の柱である<私小説性>の調査について総括を進めると同時に、2つめの柱である<自己語り>文学の国際比較について、東アジア圏、西欧圏を射程とした国際シンポジウムの準備を国外の研究者と協力して進める。以下3点が、具体的な計画の方向である。 ①2021年度より公開を開始した<私小説性>のデータについては、引き続き個人の調査を進め、随時、WEBサイトでの公開を行っていく。また、最終年度に向けて、これらのデータを利用しての総合的な分析を行っていく。 ②<自己語り>文学の国際比較については、2023年度末に向けて国際シンポジウム開催の準備を進める。本研究は、科研費研究「〈私〉性の調査と<自己語り>文学との比較による日本「私小説」の総合的研究」(20K00347)を引き継ぐもので、東アジア圏の<自己語り>に関してはすでにある程度の成果を得ている。また、2022年度は西欧圏の<自己語り>の問題に取り組み、一定の成果を得ることができた。2023年度は、ここまでの成果を統合し、日本、東アジア圏、西欧圏と3つの地域における<自己語り>文学について総合的な研究を行っていく。2022年度にシンポジウムで基調講演を行った3名の西欧圏研究者、および前科研費研究において研究協力をしてきた東アジア圏の研究者と情報交換を行い、進めていく。 ③上記①②を円滑に進めるために、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式で3回の定例研究会を開催する。2022度の研究会は②の国際比較に集中しての開催となったが、2023年度は研究の総括に向けて、①<私小説性>の調査に関する研究会、②国際シンポジウムに向けたプレ企画と、2つの柱についてバランスよく研究会を開催する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、主にCOVID-19の影響による海外渡航や国内移動の制限による旅費の未使用による。具体的には、以下2点である。 ①海外渡航に制限が残っていたため、2022年度予定していた西欧圏の研究者を招いてのシンポジウムは対面、Zoomを併用してのハイブリッド形式で行うこととなった。これによって、招聘費用の一部を繰り越すこととなった。 ②また、同様にシンポジウムをハイブリッドで行ったことで、国内旅費の一部を繰り越すこととなった。 2022年度は国内外の移動にほぼ制限がなくなるので、これらの経費は大規模シンポジウムの開催などに使用する予定である。 上記、①②の理由により、次年度使用額が発生した。
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Research Products
(13 results)