2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K00353
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹内 千代子 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (00330382)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 松尾芭蕉 / 井上重厚 / 落柿舎 / 義仲寺 / 花供養 / 高桑闌更 / 成田蒼虬 / 近世後期京都俳壇 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、『「花供養」翻刻集成Ⅲ―蒼キュウ(2) 千涯 朝陽の時代 文政十一年~天保十一年~』と『落柿舎 義仲寺 井上重厚年譜 発句稿』を印刷物にまとめ、下記よりWEB公開もした。 http://www.arc.ritsumei.ac.jp/archive01/theater/thml/hanakuyo/index.html 「花供養」については、当該研究の全体を通しての課題であり、継続的に進めているが、その三回目にあたる。近世後期京都俳壇の芭蕉顕彰の様相を考察する基礎的資料であり、全国の作者が入集している状況からは、俳諧史の考察に欠かせない史料でもあるといえるものである。 また、重厚の研究は、田中道雄氏等による五升庵蝶夢の書簡の研究『蝶夢全集 続』が2022年度に公刊されたことにより、当該研究が中断していた資料を補い、2023年度に至りまとめることができたものである。それに伴い継続的に進めていた芭蕉顕彰を軸とした重厚の俳諧活動の研究も晩年期にあたる考察を「重厚の奥羽行」(龍谷大学国文学会「国文学論叢」69号)において加えた。これによって、生誕、俳諧活動の開始と落柿舎再興、江戸移住、奥羽行、義仲寺看主と考察を加え、その足跡と芭蕉を軸とした活動を明らかにした。このなかで注目されるのは、芭蕉の偶像化にかかわる部分で、近世後期の俳諧の特質とも関連しているところである。近世後期京都俳壇は、松永貞徳の流れを汲む貞門の影響が弱まり、蕉門の影響が強まる。そのなかで、「花供養」や重厚の再興した落柿舎、二条家俳諧などの動きは、京都にとどまらず、全国に波及していくが、一面では芭蕉の偶像化を進める一因ともなる。芭蕉の実像を真摯に追及する洛東双林寺の仮名碑に集う芭蕉追善俳諧や、芭蕉本廟の義仲寺に集う時雨会俳諧などの衰退とは対照的である。
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Research Products
(3 results)