2023 Fiscal Year Research-status Report
Construction of the Database of Katakana Old Printing Types Used in Documents Printed at Ninna-ji, and the Study of the Emergence and Diffusion of the Lexicon Wagyokuhen Based on the Database
Project/Area Number |
20K00355
|
Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
村上 明子 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (70261112)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 古活字 / 古活字本 / 仁和寺 / 和玉藊 / 出版文化 / 出版文化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は『和玉篇』国会図書館本のデータからカタカナ活字を切り出すプログラムが完成したので、情報処理学会全国大会で研究発表し、問題点の発見と確認に努めた。その結果、大きな欠点は認められなかったので、さらに仁和寺所蔵活字と照合するプログラミング作成を継続依頼した。 カタカナ活字が極小であるため乾拓などが取れず、現状では使用状況を版本で視認するほかはないが、版本中のサンプル活字が確定すれば、同一活字を掲出するプログラミングが可能とのことである。ただし、プログラミングの完成には時間が必要なので、研究期間延長の申請を出さなくてはならない可能性がある。 一方で『和玉篇』と同時期に出版された古活字本を収集し、スキャナーにかけてデータ化する試みも実施した。しかし、活字切り出しを可能にするためのデータ化に際しては高解像度が求められるので、予算を確保して業者に撮影を委託する方がスムーズに進行すると思われる。また、版本によりプログラミングを変更し各版本の構成に合わせて調整しなければならないために、時間的にも工程的にも今回の研究でデータベース化を完成させることは難しいが、古活字切り出しの方法の目安はついたと考えている。 仁和寺における出版作業に関する考察は、活字照合プログラミングの完成を待たねばならない部分があるが、本年度はこれまで手作業と視認に頼らざるを得なかった膨大な作業が一気に進行して同活字使用の頻度や各丁で使用される傾向が把捉されるようになり、具体的に記述できる状況に向かっていると思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究初年度がコロナ禍により停滞し、そのためにプログラミング開発が遅れたためである。本年度になってやっと完成に近づき、方向性も明確になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
プログラミング開発が軌道に乗り、特定活字の掲出まであと一歩のところまで来ている。実現に向けて国会図書館本『和玉編』から仁和寺所蔵カタカナ活字のサンプルを切り出し、資料として開発者に提供する。 プログラミングの完成により国会図書館本『和玉編』に使用された仁和寺カタカナ活字をすべて特定する。さらに、仁和寺で出版されたことが確定している天理本『和玉編』のカタカナ活字を切り出したいが、それには別のプログラムを作成してもらわなければならないので、研究期間中にそれが可能であるかは現在相談中である。できない場合は視認によるサンプル活字の掲出のみとする。 現在の国会図書館本『和玉編』各丁のカタカナ切り出しによって解明される部分を含め、これまでの仁和寺所蔵活字に関する研究成果をまとめられるようにデータ整理し、文章化することをめざす。
|
Causes of Carryover |
研究初年度にコロナ禍のために研究が停滞し、その分の予算が引き続き残っているため。来年度に完成予定のプログラミング開発費に充当する予定である。
|