2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K00359
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 健 (渡邊健) 米子工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40760525)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鳥取の和歌 / 近世後期 / 地方歌壇 / 類題和歌集 / 国学と和歌 / 資料調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(2020年度)は当初提出した研究実施計画に基づき、近世後期の鳥取の和歌に関する資料の中から次の二つを翻刻し、解説を付して紹介した。 ①鹿島家和歌資料のうち未だ活字化されていない『類題採風集二編料』の解読を進め、その翻刻・解題を『山陰研究』第13号に掲載した。『類題採風集二編料』の資料は二種類あることが知られていたが、今回の調査により甲寅夏(嘉永七年・1854年)の記載のある方を増補・整理して他方が成ったことを確認できた。この二つの資料は、地方歌人が当時の全国的な類題和歌集に投稿した際の原稿の推敲過程や添削の状況を明らかにし、鳥取における近世後期の地方歌人の活動や地域歌壇の隆盛の具体相を知る上で重要な資料である。 ②『類題稲葉集』の翻刻作業を進め、その序文と春部の翻刻を『米子工業高等専門学校研究報告』第56号に掲載した。この作品は近世中後期の鳥取の歌人の和歌を集成した歌集であり、鳥取の近世後期の和歌を知る上での基礎資料であるが、活字化されていなかったためあまり知られておらず、『和歌文学大辞典』(2014年)にも立項されていない。今回その一部が初めて翻刻・紹介されたことにより、今後、近世後期の鳥取の歌人と地域歌壇についての調査・研究が進展することが期待される。 当該年度はコロナ禍の状況のため、当初予定していた資料調査を実施することが困難であったが、幸いに調査を受け入れてくれた山陰歴史館、米子市立図書館が所蔵する資料の一部については調査・撮影を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による業務多忙化と、当初計画していた資料調査や参考文献の収集が遅れたため、検証・考察の成果を学会発表や学術論文の作成につなげることができなかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度(1年目)の検証・考察の成果を踏まえ、幕末の米子歌壇の活動の実態と、全国的な類題和歌集との関わりについて調査・研究した内容をまとめ論稿化する。鹿島家和歌資料のうち未だ活字化されていない「鹿島重正和歌詠草」の調査を進め翻刻、紹介する。『類題稲葉集』の諸本調査を行うとともに解読を進め、その翻刻作業を下巻まで終了させる。 1年目の研究の進捗がやや遅れたことを考慮し、当初2021年度(2年目)の研究実施予定としていた鳥取の国学者歌人(門脇重綾・小谷古蔭)の伝記、資料調査については、必ずしも年度内に成果発表を目指さないこととする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは主に以下の理由による。①新型コロナ感染防止対策のため、当初出席を予定していた学会への参加を見合わせたり、オンラインでの参加になったことにより今年度は旅費が不要になった。②当初予定していた資料調査が行えなくなり、今年度は撮影機材等の購入を控えた。③勤務先の業務が多忙になったことにより研究に必要な書籍や資料の購入を思うように進められなかった。 次年度は撮影機材の購入も含め計画的に経費を使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)