2021 Fiscal Year Research-status Report
Ahabs, or Aspects of the Posthuman
Project/Area Number |
20K00390
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小林 正臣 琉球大学, 教育学部, 准教授 (30404552)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ポストヒューマン / エコロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまで収集した資料に基づき、研究を展開した。その成果の一つとして論文を発表した。その内容は以下の通りである。
全ては他の全てと関連している―それが一般的なエコロジーの第一原則である。本稿は、そのように全てを関連性の総体とする全体論を広義のエコロジーとして捉え、様々なエコロジーの外部を探求する。第一に扱う全体論は、カント以来とされる相関主義である。この哲学論に対して、意識に先立つ事物の存在から意識の外部を考えるのが思弁的実在論である。主唱者の一人であるカンタン・メイヤスーは、偶然性の必然性を説くことで思考に基づく相関性の外部性を指摘する。そして相関性を前面にした作品がアーネスト・ヘミングウェイの「何を見ても何かを思い出す」であり、対照的に偶然性を前面にした作品がポール・オースターの『最後の物たちの国で』である。つづく全体論は、人間中心主義としてのヒューマニズムである。この全体論は、IoT や AI の登場によって、その完全性を維持できなくなりつつある。そして P・K・ディックの代表作『電気羊はアンドロイドの夢を見るか?』におけるモノの世界は、まさに外部性を体現している。最後に扱う全体論は、歴史哲学者ユヴァル・ノア・ハラリが考察するデータ主義である。ビッグデータなどの膨大なデータにおいては、ヒトもモノも解析データとして一様に存在する。そして絶え間ないデータの流通を生命体として描いているのがドン・デリーロの『コズモポリス』である。データ主義を体現する主人公の死をもって終わる本作は、データ主義の外部性を象徴的に描く。かくして本稿は、「外部性の可能性」(outside possibilities) を発見することで、エコロジーとしての全体論を批判的に思考するための本来的な意味味における「わずかな可能性」(outside possibilities) を提示する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収集した資料に基づき、論文として研究成果を発表することができた。今後は、さらに発表できるように努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ポストヒューマン研究を文学研究の視点から行うにあたって、英米の文学史を再検討する必要性を見出した。ポストヒューマン研究は未来志向の視点から行われる傾向が強いが、むしろ歴史的観点から問うことも可能であり、文学史の再検討を行うことでその可能性を探求することができると考えている。今後は、この探求を行いながら、さらに研究成果を発表できるように努めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、予定していた研究を実行することができない場合がいくつか生じた為。 今後は、コロナ禍においても実行できる計画に変更することで使用していけるように努める。
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Research Products
(1 results)