2023 Fiscal Year Research-status Report
マグレブにおける社会変革と仏語表現文化:グローカリズム時代の市民的愛国意識の創生
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20K00463
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青柳 悦子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70195171)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 北アフリカ / マグレブ / アルジェリア / マンガ / 海外マンガ / 市民文化 / 社会変革 / 異文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルジェリアにおける市民文化活動の例として漫画文化の発展に注目し、現在の状況とともに、独立後から今日に至るまでの漫画文化史を検証してその独自の歩みを明らかにした。また現在から今後に向けた発展の可能性をさぐるため、現地の漫画創作家や漫画研究関係者と接して情報収集をおこない視点を深めた。具体的な活動は以下の通り。 1962年の独立後に新たな文化として創始され、とくに民族的社会主義革命の一環として国家的な文化施策の枠組みで推進された側面のある同国の漫画創作が、ヨーロッパの影響を強く受けつつも、新たな世代の市民文化創出としてどのような変遷をたどって今日に至ったかを具体的事実を確認しながらたどる研究活動をおこない、日本マンガ学会で、アルジェリアのマンガについては同学会初となる研究発表をおこなった(「アルジェリアにおける日本式「マンガ」創作の意義-市民的共感と越境性の創出-」、日本マンガ学会第22回大会、 2023年7月1日)。この発表を基にさらに研究を発展させ、同国で今日展開されている日本式のマンガ創作が、現地でも一過性の流行と思われている面があるのとは逆に、ヨーロッパ風の創作に比しても、より強固に自分たちらしさや国内性を意識する点で同国の漫画伝統のいわば正当な継承者としての重要性をもつという主張を掘り下げた論文として発表した(「アルジェリア漫画史からみる近年の日本式マンガ創作の意義」、『マンガ研究』(日本マンガ学会)第30号、2024年3月)。 ほかに、アルジェリアの国際漫画フェスティバル(第15回FIBDA)に招待参加して、漫画創作支援の方法としての(とくに文学からの)翻案作業について講演して現地の創作者と意見交換したほか、日本で開催された初のアフリカマンガ展(京都国際マンガミュージアム、2023年10月26日-2024年2月18日)でのパネル説明に協力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
とりわけ本研究の研究期間の最初の2年間(2020-2021年度)のCovid-19の影響による研究活動の制限や、この緊急事態に対応するための教育・大学運営業務への専念が、この研究の進展の遅れをもたらしている。 とはいえ昨年度(2022年度)からは、なんとか現地への渡航も可能となり、2023年度はようやくまともな研究活動をおこなうことができた。 2023年度の成果として特筆すべきは、日本マンガ学会での口頭発表と投稿論文掲載を実現したことである。これによって単に北アフリカでおこなわれているマンガ創作の現象を日本に紹介するだけでなく、文化をめぐる学術的議論の一環にこの現象を組み入れることができたことは大きいと考えている。また、新たな状況を捉えて展開されつつあるアフリカをめぐるコミック創作研究との接続を図ることができたことも大きい。 一方でアルジェリアを拠点に地域を広げて展開しようと考えていた他の北アフリカ諸国でのマンガ創作事情についての調査は、北アフリカ諸国間の横の連携自体がけっして容易ではない状況にあるせいもあり、着手できていないので、この面を今後拡充したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度にあたるが、研究の進展はやや遅れているので、少なくとも前半は、アルジェリアでのマンガ創作や文学創作にみられる市民社会形成への動きを検証する。とりわけ女性の創作や社会参加、若年・低年齢女性への社会的・文化的啓発が文化を通じてどのようにおこなわれているのかに注目する。また、チュニジア、モロッコといった北アフリカのほかの国々の動向への調査を進める。 後半では本課題の成果として、これまでの研究結果を総括し、北アフリカにおける社会変革と文化の関係について、その現況と特徴、課題とこれからの発展可能性についてまとめる。
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Causes of Carryover |
次年度の海外渡航費は、現今の諸物価高騰と円安のために、余裕を持った資金計画が必要と考えられたため、本年度分を使い切らずに、2024年度の研究活動費に繰り込むこととした。北アフリカ地域への渡航費として使用する予定。
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Research Products
(3 results)