2021 Fiscal Year Research-status Report
言語処理過程で観察されるP600効果の実験間・個人間の差異を生み出す要因の検討
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20K00539
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安永 大地 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (00707979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 衡聴 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (40469896)
矢野 雅貴 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (80794031)
荒生 弘史 大正大学, 心理社会学部, 准教授 (10334640)
諏訪園 秀吾 独立行政法人国立病院機構沖縄病院(臨床研究部), 神経内科, 脳・神経・筋疾患研究センター長 (50345518)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 言語理解 / 事象関連電位 / P600 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の脳機能計測技術の広まりによって、言語学においても、言語処理過程の解明に向けて脳波データが盛んに用いられるようになってきた。ただし、研究が増えることによって生じる問題の一つに各研究の関連性やデータの再現性の問題がある。申請者らの研究やその他の研究から、言語処理は個人内・個人間の可変性が高いことが明らかとなってきており、安定的に言語関連脳波を計測する方法の開発は重要である。その結果として、データの質や再現性が高まることで、言語処理理論の一層の発展が期待される。 二年度目も思うように実験が進まない状況であった。しかし、以前にP600が観察された2種類の実験(これらは手続きがよく似ているが異なるものである)を同一の実験参加者に対して行う機会があり、これまでは直接比較ができなかった2つの実験結果を比較することができた。この分析の結果、P600の出現のようすは単なる文処理負荷の増大によってのみではなく、その処理時に生起していた予測との合致の度合いとの関連が強いことが示唆される結果が得られた。この成果は2021年9月にオンライン開催された国際シンポジウムでも発表され、2022年度中に論文集の1編として刊行される予定である。 また前年度に引き続き実験実施のためのプログラム類の開発・整備を進めることができ、各研究機関で統一した実験プログラムが利用できるような環境を作り、その成果の一部はインターネットを通じて国内外に広く公開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時に本来行う計画であった実験が対人研究の制限のために思うように進められていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
各研究機関の研究倫理委員会において対人実験実施のための条件が整えられつつあり、関連学会のガイドラインも参考にしながら感染対策を入念に行い、実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により実験ができなかったことにより、実験参加者に対する謝金や実験消耗品の支出がなかった。実験実施が可能になり次第、着実に遂行していく。また、感染対策のための備品や消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)