2020 Fiscal Year Research-status Report
中国のモンゴル系民和土族語における文法記述と語彙に関する総合的研究
Project/Area Number |
20K00571
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩谷 茂樹 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (70273737)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 中国のモンゴル系言語 / 民和土族語 / 文法記述 / 語彙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
「中国のモンゴル系民和土族語における文法記述と語彙に関する総合的研究」と題する本研究は、中国の甘粛・青海省におけるモンゴル系孤立的諸言語、通称「河湟語」の一つに位置付けられる土族語のうち、記述研究が従来不十分で、その実態があまり知られていない民和方言(話者人口推定1万人)、別名「民和土族語」を取り上げ、共時的見地から、当該言語の詳細な文法記述と語彙調査を徹底的に行うことにより、民和土族語が一体どのような言語なのか、その全体像を明らかにするとともに、通時的見地からは、モンゴル祖語から受け継がれた共通特徴と当該言語で独自に発展させた改新特徴を弁別することにより、最終的には、モンゴル系言語全体(=モンゴル語族)の中での民和土族語の位置付けを目指すものである。 本来なら、コーディネーターの協力の下、中国のモンゴル系「民和土族語」に関する現地での文法と語彙の聞き取り調査を集中的に行う予定であったが、昨今の感染症拡大により海外現地調査ができなかったため、今年度の研究実績は部分的であり、やや遅れていると言わざるを得ない点は、はなはだ残念である。 しかしながら、研究従事者は、目標として掲げる2本柱(1.民和土族語の詳細な文法記述、2.民和土族語の語彙調査)のうち、後者の民和土族語の語彙調査として、拙著(2018),『土族語語彙』30p. AA研の中で、400語余りの民和土族語の語彙を記述したが、これだけの語彙数では、モンゴル語族における民和土族語の位置付けを決定することは不十分だったので、今回、2018年8月に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)主催の言語研修で作成した4冊のテキストを基に、再度当時のメモ書きを文字化し、語彙の掘り起こしをした結果、昨年度の研究初年度に1000語までに語彙数を増やし、語彙の整理を前進させた点は評価できると思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来なら、コーディネーターの協力の下、中国のモンゴル系「民和土族語」に関する現地での文法と語彙の聞き取り調査を集中的に行う予定であったが、昨今の感染症拡大により海外現地調査ができなかったため、今年度の研究実績は部分的であり、やや遅れていると言わざるを得ない。
|
Strategy for Future Research Activity |
感染症がある程度収束に向かうことを願い、その際は、コーディネーターの協力の下、中国のモンゴル系「民和土族語」に関する現地での文法と語彙の聞き取り調査を集中的に行う予定であるが、もしさらに困難な状況が続くようなら、その時は、2018年8月に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)主催の言語研修で作成した4冊のテキストのインフォーマント(言語情報提供者)が日本に滞在しているので、その人の協力の下、本研究を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
昨今の感染症拡大により、当初予定していた年一回の中国青海省への海外渡航費用、及び中国側研究協力者への謝金(特に本研究遂行に不可欠な当該地域への海外渡航による資料収集のための現地調査、及び現地コーディネーターの協力などに伴う支出)がすべて未支出となったため。 使用計画に関しては、今後の感染症の状況を鑑みながら、中国青海省への現地調査を伺うとともに、同時に国内に滞在するインフォーマント(言語情報提供者)からの調査を、今年度は優先させたいと計画している。
|