2023 Fiscal Year Research-status Report
Contrasting Japanese Loanwords in Brazil, Hawaii and the Former South-Seas Colonies
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20K00632
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
Daniel Long 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00247884)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 借用語 / 言語接触 / 外国語における日本語の影響 / 外行語 / 意味変化 / 旧植民地と日本語 / 語形変化 / 音韻変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
作成中の『日本語起源借用語逆引き辞典』の作業が順調に進んでいる。2023年度は特に例文採集に力を入れている。これは「作例」ではなく、いわゆる自然発生的に使われる実際の使用例である。これらは特に意味変化を解説する際に重要な裏付け証拠となる。インターネット上に多言語データベースが存在する。これは元々英語で書かれた数万点の雑誌記事が世界中の言語に翻訳されているものである。本科研費が扱うチャモロ語、コソラエ語、マーシャル語、パラオ語、ポナペ語、チューク語、ヤップ語、ハワイ英語の8言語のデータもある。 例としてマーシャル語のamimonoが挙げられる。日本語の「編み物」に由来するが、意味拡張によって「手作り民芸品全般」にまで意味広がった。こうした意味変化はこれは母語話者を対象とした面接調査でも分かっていた。しかし、ロングはこれらの言語が話せないため、面接調査は英語で行なっている。日本の口頭発表や研究論文でこの劇的な意味変化が起きていると述べると、(当然ながら)証拠を示すように要求される。面接調査で(言語学の専門的知識のない)一般話者に作例を頼んでも「amimonoを買った」のように、意味変化を特定するために役立たない文を作ることが多く、非常に困難を伴う作業である。新しく発見したインターネット上の雑誌記事ではマーシャル語のamimonoが英語のcarved workやwoodworking、日本語の「木工」や「木材の加工」に当たる。意味変化が生じている動かぬ証拠となっている。現在のところ、こうした使用例は162文の整理(データベース化)が完成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長引いたコロナ禍で現地でのフィールドワークができなくなっていたが、必要に応じて、新たなデータ採集法を模索した結果、『日本語起源借用語逆引き辞典』の製作が順調に進んでいる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる2024年は上記のような例文の採集と整理に努める。
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Causes of Carryover |
日本国内でコロナ禍が終息した後でも、本研究の対象地域としている太平洋諸島における特殊な危機意識が残り、フィールドワークが先延ばしとなった。
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Research Products
(3 results)