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2021 Fiscal Year Research-status Report

19世紀における「長崎ハルマ」ローマ字本のグローバルな展開

Research Project

Project/Area Number 20K00635
Research InstitutionSeijo University

Principal Investigator

陳 力衛  成城大学, 経済学部, 教授 (60269470)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 木村 一  東洋大学, 文学部, 教授 (90318303)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords蘭学 / ヅーフハルマ / ローマ字本 / 蘭和辞書 / ホフマン / シーボルト / フェッセル / メドハースト
Outline of Annual Research Achievements

「『英和和英語彙』(1830)の編集に用いられた近世日本の辞書類―メドハーストの書簡に基づいて―」(『成城大学経済研究』235号、2022年2月)では、宣教師メドハーストがバタビヤでオランダ商館長から借り写した日本語の辞書や書物を特定した。
メドハーストが『英和和英語彙』(1830)の編纂に日本の書籍を利用したことはよく知られていたものの、いままで具体的に名前まで特定できている書籍は少なかった。本論は新たにメドハーストの書簡を利用して江戸時代に日本で編集された辞書8点を特定することができた。そして、それらの書籍について現在の所蔵先および状況を追跡・確認した。本論の一連の調査と研究によって、『英和和英語彙』の性格を明らかにし、その成立過程において前進することができた。
続いて、「19世紀における『訓蒙図彙』の海外流布と利用」(同236号、2022年3月)では特定した辞書8点のうちの1点である『訓蒙図彙』がいかに活用されたのかといった点について検討を加えた。
まず、オランダ商館長所蔵のものが現在ライデン大学に所蔵されていることを明らかにした。あわせて、『英和和英語彙』の「和英の部」において、『訓蒙図彙』を意義分類の手本として活用しただけではなく、動植物に関する多くの語のソースとして扱ったことを明らかにした。さらに、中国の広東に伝わった『訓蒙図彙』はメドハーストがシーボルトから受け取ったものであり、現在はアメリカに所蔵されているることを確認し、報告した。
以上のメドハーストおよび『英和和英語彙』を対象とした調査・研究により、さらに「長崎ハルマ」ローマ字本の実態に迫ることが可能となった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

発表や論文として研究成果に関連するものを公表することができた。また、フェッセル辞書の位置づけ、およびホフマン抄本との関連など、本研究の意義と必要性についてまとめた論文を学会誌に投稿し、すでに採用が決定している。
コロナ禍,研究の対象の順を入れ替えるなどとして対応をはかっている。特に調査に関してはさまざまな制約があったため、研究費の執行が予定通りに行うことができず,次年度に繰り越しを行った。

Strategy for Future Research Activity

フェッセル辞書がメドハーストの手にどのように渡ったのかを中心に考察することで、メドハーストの世界初の『英和和英語彙』がいかに蘭学からの影響を受けたのかが明らかにできる。
特に、ローマ字表記の拠り所としてフィッセル辞書の果たした役割はとても大きいため、実証的に報告を行う予定である。
対象資料の近代日本語の反映とされる部分に焦点を当てることを継続して進めることで、さらに対象資料の重要性を明確にしたいと考える。引き続き発表や論文などを通して公表を行うこととしたい。

Causes of Carryover

コロナ禍により、海外の出張が行えなかったため。

  • Research Products

    (10 results)

All 2022 2021

All Journal Article (9 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 『学問のすすめ』の文体2022

    • Author(s)
      陳力衛
    • Journal Title

      福澤手帖

      Volume: 192 Pages: 9-12

  • [Journal Article] 『英和和英語彙』(1830)の編集に用いられた近世日本の辞書類―メドハーストの書簡に基づいて―2022

    • Author(s)
      陳 力衛
    • Journal Title

      成城大学経済研究

      Volume: 235 Pages: 145-172

  • [Journal Article] 19世紀における『訓蒙図彙』の海外流布と利用2022

    • Author(s)
      陳 力衛
    • Journal Title

      成城大学経済研究

      Volume: 236 Pages: 149-176

  • [Journal Article] 啓蒙書の外国語のカタカナ表記の扱い ―『西国立志編』の割注を資料として―2022

    • Author(s)
      木村 一
    • Journal Title

      中部日本・日本語学研究論集

      Volume: - Pages: 273-291

  • [Journal Article] 語詞概念研究中的古典追溯有何意?―以《四庫全書》電子版為例―2021

    • Author(s)
      陳 力衛
    • Journal Title

      亜洲概念史研究

      Volume: 7 Pages: 279-295

  • [Journal Article] 近代訳語のいわゆる転用語について―「文学」と「教育」を例として―2021

    • Author(s)
      陳 力衛
    • Journal Title

      中国語学

      Volume: 268 Pages: 22-53

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 近代「~主義」的傳播與《清議報》2021

    • Author(s)
      陳 力衛
    • Journal Title

      清代文學與翻譯

      Volume: 57 Pages: 213-235

  • [Journal Article] 『新関文件録』から見る19世紀後期の中国語の対訳―日本近代漢語との比較において―2021

    • Author(s)
      陳 力衛
    • Journal Title

      成城大学経済研究

      Volume: 234 Pages: 111-138

  • [Journal Article] 辞書の名前2021

    • Author(s)
      木村 一
    • Journal Title

      日本語学

      Volume: 秋 Pages: 42-51

  • [Presentation] 出島からバタビヤへの日本知の伝播―メドハーストの役割を中心に―2021

    • Author(s)
      陳 力衛
    • Organizer
      近代東アジア文化史の再構築Ⅰ―19世紀の百年間を中心に―(日文研国際共同研究会)

URL: 

Published: 2022-12-28  

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