2020 Fiscal Year Research-status Report
多義動詞における使用上の制約が強い語義の記述に関する研究
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20K00652
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
木下 りか 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (50314026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 大志 愛知学院大学, 教養部, 准教授 (10616494)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多義動詞 / 語義 / 古い文体 / 共起制約 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の電子辞書や紙媒体の辞書を参照し、多義動詞における「使用上の制約の強い語義」の抽出を行った。 「使用上の制約の強い語義」のうち「古い文体の語義」については、「雅語」「古い」など、語義の注記を手掛かりに検索を行った。研究計画時には候補にあげられていなかった複数の語義が抽出された。また、当初から「古い文体の語義」の候補とされていた語義については、その古さに関する言及があるかどうかを確認した。今年(2020年)度、調査予定の辞書のすべてを調べることはできなかったが、今後、調査できなかった辞書も含めて「古い文体の語義」の抽出調査を進め、整理してリスト化し、その中から分析対象となる語義をしぼる。その上で、当該の語義が多義語の複数の語義の中で中心性を持つのか、持つとすればどのような意味での中心性を持つのかを考察し、当該の語義を複数の語義の中に位置づけていく。 「使用上の制約の強い語義」のうち「共起制約の強い語義」についても、電子辞書や紙媒体の辞書を参照しつつ、語義の抽出を行った。「古い文体の語義」と同様、研究計画開始時にすでに候補となる語義はあったものの、視野になかった新たな語義が複数抽出された。それらの語義の共起制約の在り方は多様である。それらを俯瞰し、今後、どのようなタイプの共起制約に注目して分析を進めていくか整理検討を進めることになる。その上で、語の意味と構文の意味とを区分して記述可能かどうかを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度当初の計画は、電子版や紙媒体の辞書を用いて多義動詞における「古い文体の語義」「共起制約の強い語義」を抽出し、その中からほかの語義との関係を詳細に分析する対照となる多義動詞を絞り込むというものであった。しかし、実際の進行は辞書から新たな考察対象候補を複数見つけ出すまでにとどまり、整理して分析対象を絞り込むところまでは進められなかった。コロナ禍による遠隔授業対応など、想定外の対応を求められることが多く、研究時間に不足が生じたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の大きな流れに変更はない。ただし進度に遅れがあるため、令和3年度はまず令和2年度に実施できなかった事柄、すなわち辞書から多義動詞における「古い文体の語義」「共起制約の強い語義」を抽出し、その整理を行う。その上で分析対象とする多義動詞を絞り込み、当該の語義を他の語義の中に位置づける分析に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による遠隔授業対応などにより研究時間が想定よりかなり不足したこと、さらに国内外の学会への参加が困難であるなどの理由から、次年度使用が生じた。 令和3年度は分析作業の効率化のために、令和2年度に購入したものと同じ電子辞書、さらにそれをインストールするためのPCを整備する予定である。本研究で調査する電子辞書は、一台に一冊しかインストールできない。令和2年度の作業において、効率よく作業を進めるには、同じ辞書の複数箇所を同時に参照できることが望ましいことがわかっている。 その他、情報機器の充実も図る予定である。研究計画時から予定されていたプリンターのほか、複数画面の同時操作を容易にする大型のモニターである。
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