2021 Fiscal Year Research-status Report
再現を目的とする学習活動が英語力に与える効果:復唱、書き取り、暗唱、書写の比較
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20K00805
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Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
飯村 英樹 群馬県立女子大学, 文学部, 准教授 (30382831)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 再現 / 復唱 / 暗唱 / リード・アンド・ルックアップ / 書きとり / 書写 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「再現」を目的とした英語学習活動の難易度を明らかにし,学習者のつまづきを特定することを目的としている。 研究計画2年目である本年度は,アウトプットを音声に固定し,①復唱と③暗唱に焦点をあてた実験を行った。予備実験として以前実施した形式(アウトプットを文字に固定した②書き取りと④書写)の調査結果(飯村,2019)を再分析して,音声アウトプットと文字アウトプットの難易度を比較検証した。実験参加者は,英語専攻の日本人大学生33名であった。参加者の平均語彙サイズは約3,300語と推定された。飯村(2019)では,英語専攻日本人大学生37名で推定語彙サイズは約3,500語であった。実験マテリアルは,飯村(2019)と同じく,6語~10語からなる英文20個を使用した。マテリアルの語彙難易度は①英検準2級レベルと②英検準1級レベルの2種類であった。被験者内実験計画により,参加者は音声提示(復唱)→文字提示(暗唱)→音声+文字提示の順で受験した。提示する英文にはダミーを2文加え,各段階で順番を入れ替えてランダムに提示した。英文の再生率を得点化し,三元配置分散分析を行った。 分析の結果,音声アウトプットの方が文字アウトプットよりも,インプット条件および語彙難易度の影響を受けており,口頭で再生することの難しさを反映している可能性が示された。また再現の難しさが顕著に表れるのは,8語を中心としてプラスマイナス2語の範囲であることが示唆された。さらに英文に含まれる語彙の難易度は,音声アウトプット,文字アウトプットいずれの場合においても再現に大きな影響を与えることが分かった。最後に音声のみインプットが提示された場合,最も再現が難しく,音声+文字の提示はインプットに含まれる語彙難易度が高い場合に再現を助ける働きがあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに進められており,実験の実施から分析,発表までを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回実施した予備実験の結果を踏まえて,本実験に入る。実験では音声や文字の提示条件を厳密に管理する必要がある。十分に時間をかけて慎重にマテリアルを作成することで,正確な結果を引き出し,研究の質が向上すると考えられる。
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Causes of Carryover |
パソコンのOSが大きく変更されることにともなって,統計処理ソフトの仕様も変更の可能性が高かったため,パソコン,ソフトとも購入を控えた。またコロナ禍で参加した学会がオンラインになったことで,旅費が発生しなかった。統計処理ソフトが新しいOSに対応していることが確認できたので,次年度に購入する予定である。
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Research Products
(2 results)