2020 Fiscal Year Research-status Report
古文書学における料紙と機能・様式の有機的関係について
Project/Area Number |
20K00923
|
Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
漆原 徹 武蔵野大学, 文学部, 教授 (20248991)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 友彦 皇學館大学, 文学部, 教授 (40278411)
神野 潔 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 教授 (40409272)
花田 卓司 帝塚山大学, 文学部, 准教授 (60584373)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 文書の料紙 / 武家・公家文書 / 寺社文書 / 中世・近世文書 / 文書の機能と様式 / 楮紙と雁皮紙 / 奉書紙と鳥の子紙 / 料紙の填料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研の2020年度での文書調査が一回も実施できず、また研究の性格上オンラインでの研究代表者と分担者の合同研究会は実施できていない。従って新型コロナ感染拡大状況の改善による情勢の改善を待って、今後の研究活動再開に向けて、過去の調査で得たデータの整理と検討を行っている現状である。 これまでの科研によって蓄積された調査した文書群について、研究代表者が研究テーマに関連して公表した主な成果は下記の通りである。 研究代表者 漆原徹 著書 ①『古文書への招待』共著「武雄社大宮司都々丸代藤原通厚軍忠状」「今川了俊書下」勉誠出版 2021年 ②『港区史 古代・中世編』監修・執筆 古代序章 中世序章 中世の港区域 第一章 武士社会の発展と武蔵国 第一節 武蔵七党と江戸氏 第二節 武蔵国の国守と守護 第二章 中世後期の港区域 第一節 南北朝時代の頭語国と武蔵 第二節 関東の戦国時代 第三節 小田原衆所領役帳 第四節 港区の城館 雑誌論文「奈良・薬師寺の国宝・佛足石の研究Ⅲ-背面銘文刻書と成立過程及びその後の影響」武蔵野大学教育学論集第8号 2020年 共著 研究分担者 花田卓司 著書 ①元木泰雄編『日本中世の政治と制度』共著 「鎌倉初期の足利氏と北条氏―足利義兼女と水無瀬親兼との婚姻を手がかりに―」吉川弘文館 2020年 ②亀田俊和・生駒孝臣編『南北朝武将列伝 南朝編』「四条隆資」「千種忠顕」光戎出版 2021年 共著 雑誌論文 藝林69巻1号「「相良家文書」の将軍家政所下文」2020年 研究分担者 岡野友彦 著書 坂田聡編『古文書の伝来と歴史の創造』共著 「料紙から見た山国の「偽文書」」雑誌論文 藝林1号「中世古文書料紙研究の現在」2020年
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナ感染拡大の状況によって、文化財指定の中近世文書の所蔵機関をはじめ、個人所蔵文書の閲覧と調査が全く困難で一度も実施できなかったことが研究遅延の大きな第一の理由となろう。また研究代表者および研究分担者の所属大学の基本方針として、研究を含めて宿泊を伴う出張を原則禁止していたこともあり、全員で既に蓄積されているデータ資料の検討を全員で集まって行うこともできなかった。研究の性質上、オンライン会議での検討と研究は、著しく有効性に欠けるため実施できなかったことがあげられる。 各自がそれぞれに、賀茂別雷神社文書、上杉家文書、相良家文書など文書群ごとnテーマ設定をして、個別に研究を親展させていたものの、本科研のテーマ解明には具体的な進展があったとは言えないと思う。おそらく研究年度を一年は延長する必要が出ると考えている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
前回採択された科研の最終調査として調査対象とした慶應義塾大学所蔵「相良家文書」から、様々な新知見を得ることができ、一部を研究分担者がその研究成果を公表したこともあり、文書調査が再開可能となったら、まずは「相良家文書」の調査をぜひ実施したいと考えている。次に「相良家文書」と関連して九州に散在する「犬童家文書」「願成寺文書」などの調査を実施して料紙の共通性の確認を行いたい。またすでに調査をした「久我家文書」の一部が個人所有となっているので、こちらもその料紙の研究調査を実施したい。文書群から伝来課程で流失した文書で確認できるものと元の文書群相互の料紙の共通性を確認することで、正文あるいは案文などの判断可能な判断材料を探ってみたい。検証する段階を一つずつ積み重ね、中世と近世の料紙の質の共通性と変化を総合的に把握したうえで、機能と様式にどの程度関連性が認められるのかを体系的に明らかにしたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出等により、宿泊を伴う出張や、対面形式の通常会議の実施開催が困難となり、文書調査とその検討会議や研究が困難になったため。
|
Research Products
(7 results)