2023 Fiscal Year Annual Research Report
植民地期インドをめぐる思想の諸相:ヨーロッパの視点とインドの視点の交差
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20K00926
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
苅谷 千尋 金沢大学, 高大接続コア・センター, 特任助教 (30568994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 信彦 関西大学, 経済学部, 教授 (40309208)
角田 俊男 武蔵大学, 人文学部, 教授 (20227458)
安川 隆司 東京経済大学, 経済学部, 教授 (40230213)
長尾 明日香 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (90758319)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ブリテン / インド / 文明と野蛮 / 教育 / 国際法 / 通商 / 貧困 / 受容史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の主要な成果の一つ、安川「ミル父子はインドでどのように読まれたか」は、19世紀後半に活躍したインド(ボンベイ管区)の知識人(ナオロージー、メータら)の著作の読解を通して、インドの側のミル父子受容の多様性を明らかにした。角田「多神教とブリテン帝国:ダウ、ギボン、ローイの「批評・哲学的歴史」」もインドの側のヨーロッパ思想の受容にかかわる。多神教と一神教を鍵概念とする角田論考は、ヒンドゥー教徒であるローイがキリスト教(ユニテリアン)に学び、ヒンドゥー教の一神論的解釈を提唱したと論じる。苅谷「ボンベイのジェームズ・マッキントッシュ:スコットランド啓蒙の植民地統治」は、同時代において現地を訪れた数少ないヨーロッパの側の知識人の一人マッキントッシュ──訪印以前に国家や国際法についての著作をもつ──現地(ボンベイ)や英印関係をどのように認識していたのかを解明した。中澤は2022年度に引き続きマルサスの『食糧高価論』を分析した他(マルサス『食糧高価論』の公刊とその影響」)、'Hiroshi Mizuta (1919-2023)' において、社会思想史家・水田洋の諸研究を、ヨーロッパの古典的著作に「西洋に比べて近代化が遅れている東アジアの小さな島国が目指すべき民主主義(あるいは市民)社会の原風景」を見出すものと評したが、このような解釈は本研究と呼応するものである。長尾はインド現地で使われた教科書の読解を通して、インド側のヨーロッパ思想の受容を検討した。
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Research Products
(11 results)