2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00934
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
多和田 雅保 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (10528392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地方都市 / 町共同体 / 近世 / 自然環境 / 自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
「現在までの進捗状況」でも述べるように、新型コロナウィルス感染症の拡大の影響を受け、やや遅れがみられるが、本研究計画が対象としているフィールドのうち相模国(現神奈川県)においては、とくに高座郡上溝村(現相模原市上溝)における近世から近代にかけての定期市の変遷状況についてこれまでの研究史を整理しながらあらたな資料情報を得て考察を行い、地方都市をとりまく在地社会における商人集団についての資料情報と関連させながら町共同体に性格についての研究を進めることができた。実績としては、研究報告「近世相武の町場について」(小田原近世史研究会、2020年09月)を行い、また、講演「近世相武の町場と商人」(横浜古文書を読む会主催、2020年11月)で成果の一部を披露した。 もうひとつのフィールドである信濃国(現長野県)では、小布施村(現小布施町)内山家文書の調査ができなかったこともあって、形ある成果は公表できなかったものの、近世の小布施村における魚流通の実態や、魚問屋設置をめぐる問屋と町内外の人びと(とりわけ地元の魚商人や越後から来る魚商人)との利害関係などについて、城下町飯山(現飯山市)の状況と比較しながら考察を進めることができた。また、中野村(現中野市)と周辺農村に存在した大規模商人集団の構造についてもかなりの程度考察を進めることができた。もうひとつのフィールドである近世の城下町飯田と周辺農村(現飯田市)における社会構造についても、これまでの研究成果をまとめ直すことで、単著の公表にむけて、かなり研究を進展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は信濃国(現長野県)と相模国(現神奈川県)を対象として、近世地方都市における町共同体の歴史的性格の解明を行うことを目的としており、現地における歴史資料調査が重要な作業となっているが、新型コロナ感染症の拡大の影響を受け、長野県において資料調査を行うことがまったくできなかった。当初調査対象として念頭においていた長野県小布施町内山家文書の現在の所蔵者には連絡をとり、新型コロナウィルス感染症の収束が見込めるまで資料調査を待っていただいている。総じて長野県を対象とした研究については、これまでに収集した歴史資料情報をもとに研究を進めた。いっぽう、神奈川県についても、所蔵機関の利用においておおきな制約を受けたものの、それでも神奈川県立公文書館と相模原市立博物館に出張して資料調査を行い、あらたな資料情報を得て研究を進めることはできた。また、神奈川県における近世の商人集団の研究を進展させるために、神奈川県に隣接する東京都調布市の文献を購入した。 以上の事情により、研究費のうち40万円を次年度に繰り越さざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、新型コロナウィルス感染症の状況次第によるといわざるを得ないが、可能な限り現地における資料調査を計画していきたいと考えている。困難な状況が続いた場合は、これまでに引き続きすでに収集している資料情報の整理を進め、研究を進展させていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルス感染症の拡大により、研究計画で調査対象となる歴史資料が所蔵されている地域への出張が困難となったことと、その影響で資料の分析を十分に進めることができなかったことである。次年度も新型コロナウィルス感染症の影響が避けられないと予想されるが、可能な限り現地への出張を検討していく計画である。
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Research Products
(1 results)