2021 Fiscal Year Research-status Report
『平戸記』新訂本の作成とそれに基づく鎌倉時代史研究の新機軸提唱
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20K00935
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉江 崇 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (50362570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本中世史 / 鎌倉時代史 / 宮廷社会 / 史料翻刻 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、鎌倉時代中期の有識な公卿である平経高の日記『平戸記』に関して、信頼するに足るような新たな校訂本を作成し、鎌倉時代史研究の進展に寄与することにある。そうした目的のもと、6名の研究協力者とともに実施体制を構築し、期間を4年間と設定して研究を遂行することにした。2年目にあたる令和3年度(2021年度)では、①『平戸記』の前半部分(延応2年正月~寛元2年3月)について翻刻の刊行に向けて準備を進めること、②後半部分(寛元2年4月~寛元3年12月)について翻刻作業を実施すること、の2点を主要な目標として定め、研究を実施した。 ①『平戸記』前半部分の刊行準備に関しては、研究代表者・研究協力者の各々の担当内容(校訂、標注作成、人名比定)を定め、担当内容に関する個々の作業に従事することとした。そうした個々の作業をとりまとめ出版社に原稿を入稿し、刊行への見通しを得ることができた。また、当初、前半と後半の2冊で刊行する予定だったところ、分量の関係から3冊で刊行することに変更し、第1冊目は延応2年正月から仁治3年9月までと決定した。また、オンラインで研究代表者・研究協力者の会議を開催し、刊行に向けて、校正の実施方法を検討した。 ②『平戸記』後半部分の翻刻作業に関しては、おおむね3分の2程度の校訂作業を終えることができた。次年度には残りの部分も終えられる見込みであるが、校訂以外の標注作成、人名比定の作業については、①の作業を優先させたことから、進めることができなかった。また、写本調査も並行して行う予定であったが、新型コロナウィルスの影響から実施することができず、翻刻作業を行う上での基礎的な資料収集にとどまった。実施できなかった写本調査については、次年度以降、改めて実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は、新型コロナウィルスの影響から、思うように作業を進めることができなかったが、2年目にあたる令和3年度(2021年度)には、徐々に研究活動を再開し、上記の通り、第1冊目の原稿を出版社へ入稿し、刊行への見通しを得ることができた。また、第2冊目・第3冊目についても、翻刻原稿が整理されつつあり、これらのことを勘案して、現在の進捗状況を、(2)おおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目にあたる令和4年度(2022年度)においては、3冊本として刊行することが決定した『平戸記』の翻刻に関して、第1冊目の校正作業を実施することとする。それと同時に第2冊目・第3冊目の原稿の整理などを行い、刊行に向けて準備を進めることとする。前年度および本年度に実施できなかった写本調査についても、新型コロナウィルスの感染状況にもよるが、行うことにしたい考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は、前年度と同様、新型コロナウィルスの影響を受け、予定していた写本調査も実施することが叶わなかった。そのために旅費を使用することができず、その分を基本資料の整備や資料・整理のための人件費などに充当したものの、残額が生じてしまった。本年度、実施できなかった写本調査については、次年度にあわせて実施する予定である。
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Research Products
(1 results)