2023 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本におけるアイヌ民族の〈社会への参画〉の歴史に関する基礎的研究
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20K00952
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Research Institution | Hokkaido Museum |
Principal Investigator |
小川 正人 北海道博物館, 研究部, アイヌ民族文化研究センター長 (10761629)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近代アイヌ史 / アイヌ教育史 / 先住民族史 / 社会への参画 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究課題の最終年度であることから、先ず①研究成果のとりまとめと発信に重点を置き、あわせて、②とりまとめに向けた補足的な資料調査及び本研究事業の成果と課題から展望される次なる研究課題も視野に入れた資料調査を行ない、さらに③本研究を通して得たデータの集約・整理を行った。 先ず①については、山辺安之助や江賀寅三など個別の人物に即した成果発表とともにと、北海道による道史編さんに1940年代以降の歴史に関する成果の一部を反映させた。さらに、より総括的なものとして、教育史学会大会シンポジウム(9月:アイヌ教育史研究の到達点と課題を主題とした)における、本研究に基づく研究史及び今後の課題と展望を整理した基調報告と、人権関係の学習・社会啓発関係者の全国集会(8月)におけるアイヌ民族の近代史の捉え方に関する報告を行った。総括的な報告は活字化を進めており、後者は既に報告内容を補充した文章を発表し、前者も2024年9月に報告内容に加筆した文章が学会紀要に掲載される予定である。 次に②では、補充的な資料調査としては函館市(9月)での調査及び文献(古書)購入を行い、新たな研究課題への展開を意識した資料調査としては、社会参画の中でも特に自民族の歴史や文化とその課題を自ら伝える試みや取り組みに着目し、長万部町(11月)、大阪府(3月:研究協力者による)、東京都ほか(3月)での調査を行った。③については、年度当初の5~6月に人件費を支出して調査したデータの集約を行っている。なお、経費は適切な支出につとめたが、若干の執行残を出している。 以上を通して、近現代におけるアイヌ民族の社会参画を求める動きと、その意思・要望がたどった紆余曲折の様子をつかむことができた。今後、研究成果報告をとりまとめる中で、これらの具体相を提示するとともに、これらを踏まえた近現代アイヌ史像の提起を図りたい。
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Research Products
(7 results)