2022 Fiscal Year Research-status Report
1920年代における在日朝鮮人への暴力とその記憶の継承
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20K00963
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤野 裕子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70386746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 正明 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20370207)
愼 蒼宇 法政大学, 社会学部, 教授 (80468222)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 在日朝鮮人史 / 暴力 / 記憶の継承 / 関東大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、新型コロナウイルス感染症の状況が改善したことから、研究計画のとおりに調査を行うことができた。第一に、2022年9月8日~11日に研究代表者・分担者が合同で岩手県図書館および宮城県気仙沼市図書館への資料調査を行った。岩手県図書館においては、岩手日報・岩手毎日新聞などの関係記事を収集するとともに、在日朝鮮人関係文献について網羅的な調査を行った。気仙沼市図書館においては、大気新聞などの郷土新聞の調査を行った。また、宮城県において、1932年に起きた朝鮮人労働者の殺傷事件である矢作事件について、聞き取り調査を実施した。第二に、2023年3月11日~14日にかけて、研究代表者・分担者が合同で山形県公文書センター・図書館、宮城県図書館・公文書館および細倉鉱山資料館での資料調査を実施した。山形県公文書センターと県立図書館では、戦前の公文書を閲覧するとともに、山形新聞などの関係記事を収集した。宮城県図書館・公文書館では、県内の鉱山関係文献や新聞記事の収集、および昭和戦前期の公文書を閲覧し、関係史料を収集した。また、1932年の矢作事件について、事件の発生現場において実地調査を行った。第三に、2022年6月11日、12月27日の2回にわたり、研究代表者・分担者で研究会を開催し、研究経過に関する報告を行った。第四に、上記の調査と並行して、関東大震災の朝鮮人虐殺に関して文献収集・調査を行い、ジェンダー分析を含めた史料分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題は2020年に開始し、2022年度で研究期間の修了を予定していた。しかしながら、開始当初から新型コロナウイルス感染症の影響により、計画していた史料調査をほとんど行うことができず、本格的な調査が行えたのは2022年度が初めてであった。2020・2021年度には可能な限りの文献調査を行ってきたが、各県の文書館・図書館での調査が不可欠な本研究課題にとっては、新型コロナウイルス感染症の影響は甚大であり、研究期間の延長をせざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長した2023年度には、これまで調査を実施できなかった新潟県・福島県・秋田県・青森県での史料調査を行うとともに、2022年度から引き続き、宮城県図書館・公文書館および市町村レベルでの史料調査を進める予定である。これにより、東北6県での調査の網羅性を高めたい。
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Causes of Carryover |
本研究課題は2020年度から開始し2022年度が最終年度であったが、2020・2021年度には新型コロナウイルス感染症の影響で、計画していた史料調査を実施することができず、調査出張旅費を中心に予算の繰越が続いていた。2022年度には調査出張を実施できたものの、2020・2021年度分に未実施だった分の調査まで単年度で実施することは到底できず、次年度以降に繰り越して実施せざるを得なくなった。2023年度には、これまで調査を実施できなかった新潟県・福島県・秋田県・青森県での史料調査を行うとともに、2022年度から引き続き、宮城県図書館・公文書館および市町村レベルでの史料調査を進める予定である。
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