2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K00973
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| Research Institution | Kyushu Sangyo University |
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Principal Investigator |
末松 剛 九州産業大学, 地域共創学部, 教授 (20336077)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 即位式 / 絵図 / 儀式書 / 高御座 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
令和の代替わりを契機として、即位式を描いた絵図が新発見されたり、あるいは各地で紹介・展示されたりしている。それらは記録性の高い歴史史料として注目され、文献史料と照合することによって、当事の儀礼の様相を読解することができる。そこで、即位儀礼に関する絵画史料の史料学的研究に取り組み、即位儀礼を運営し伝えていくために先人が果たした「記録と伝承」の歴史的意義を解明することが、本課題の目的である。
即位式絵図は関東・関西を中心に全国各地に所蔵されているため、初年度より所蔵先への出張調査を主として研究を計画していた。コロナ禍のため初年度は出張調査を断念したが、本年度は関東(東京)と関西(京都・大阪)に各１回調査することができた。目録に記載される史料名だけでは、それが絵図なのか指図なのか式次第なのか判明しないため、実見すると予想と異なる史料であったことも見られたが、これまでと類型の異なる絵図を見つけることもできた。
画像などがインターネットに公開されている史料もいくつかあり、継続して収集している。所蔵機関によっては郵送のやりとりで史料の紙焼き複写に応じてくれるところもあり、あるいは申請によって所蔵機関ホームページに画像をアップロードすることに応じてくれるところもあり、少しずつではあるが手元の資料を充実させることもできた。昨年度に引き続き、即位式に関する論考を仕上げることができたのも、その成果の一つである。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史料学的研究と題する本課題では、これまで大きく紹介や取り上げられることのなかった即位式関連史料について検討し、歴史史料としての有用性を解明することを目的としていた。それは即位式絵図の歴史的読解と関係する記録との照合を主とする手法であったが、コロナ禍により史料調査の機会が限定されざるを得なかった。
ただし、先送りしているのであって調査対象が消失したわけではなく、本年度は２回ではあるが計５機関での史料調査、および２機関からはインターネットを通じて画像を入手することができた。予定していた文学研究分野での研究会における口頭報告もつとめ、論考を本年度も仕上げることができ、今後の足かがりは決して小さくはない。以上を総合的にふまえて現状を（３）と判断している。
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| Strategy for Future Research Activity |
新年度を迎えコロナ対策に留意しつつ史料調査の遂行につとめたい。成果として仕上げた論考より、即位式関連史料の史料的有用性を広げていく視点として、服飾と歴史物語作品への着目が有効であることを確認している。描写をより深く読解する上で、即位式の描かれ方、語られ方を理解しておくことは、絵図の調査・分析を本格的に展開するうえで有益な知識となるであろう。
引き続き文献史料の収集と分析による即位式の歴史的事実に関する整理と、それらに基づく論考の発表を、本年度も行っていくことにしたい。従来の歴史研究ではさほど取り上げられていない史料に対する分析を重ね史料的有用性を解明していくことで、史料学的研究を積み上げていきたい。
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| Causes of Carryover |
初年度は一度も出張に行くことはできず、本年度も2回の調査に留まった。予定の機器備品を購入し、一定の調査結果を得ることはできが、研究計画の半ばであることにかわりはない。とはいえ状況が改善次第、調査に出向く予定のため、使用目的と計画にかわりはない。このような変更（先送り）が、次年度使用額の要因である。
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