2023 Fiscal Year Annual Research Report
実証的地名研究と地名の歴史資料化―カリヤドとは何か―
Project/Area Number |
20K00974
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
青山 宏夫 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (00167222)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地名 / 道 / 川 / 中世 / 歴史地理学 / 鎌倉街道 / 渡河 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間のほとんどが新型コロナウイルス感染症に留意すべき状況であったため、文献調査やオンラインで利用できる資料等を積極的に活用した。とくに、『角川日本地名大辞典』に掲載された小字一覧によって、カリヤドに関係する地名の抽出と存否を確認した。具体的には東日本の31都県の小字を精査し、岩手県で2例、宮城県で1例、福島県で7例、茨城県で4例、栃木県で4例、群馬県で2例、千葉県で2例、埼玉県で2例、東京都で1例、神奈川県で4例、山梨県で1例、長野県で5例、静岡県で5例、岐阜県で5例、三重県で2例の、合計47例を検出した。 このうち、茨城県常総市崎房字借宿(以下、常総借宿)、千葉県市原市新堀字苅宿(以下、市原苅宿)、静岡県御前崎市白羽字借宿(以下、御前崎借宿)は新出事例である。また、カリヤドに関係する地名の分布については、それらが太平洋側では検出されるが、日本海側では検出されないことを確認した。限られた文献調査とはいえ、31都県にわたる広域において120万件以上の小字地名を対象とした調査結果であり、いずれも高い信頼性を有するものと判断できる。 これを踏まえて新出事例を中心に検討した。常総借宿は近世に干拓される飯沼・入沼岸の台地端にあり、古代中世と推定される道が入沼を渡る地点に位置すること、市原苅宿は養老川右岸の更新世段丘上にあってすぐ近くに古代中世の道や鎌倉街道などの三叉路とその養老川渡河点があること、御前崎借宿は地形的にも歴史的にも中西川の渡河点であった可能性が高いことがわかった。また、千葉・茨城両県内の既知の4事例や比較のために三重県東員町大木の仮宿を調査し、いずれも同様の立地条件を有していることがわかった。 以上から、カリヤド地名は河川等に臨む台地等にあって中世の幹線道路の渡河点に位置するという仮説を検証し、中世の道を復元する資料としてのカリヤド地名の有効性を明らかにすることができた。
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Research Products
(1 results)