2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00983
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
石田 徹 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (90386524)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 対馬 / 朝鮮 / 訳官使 / 訳官記録 / 相互認識 / 対馬宗家文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2020年度)の本研究では、コロナ禍の影響を受け、2度程計画をしていた韓国国史編纂委員会所蔵の対馬宗家文書の史料調査がまったく行えなかった。また国内調査に関しては、国立国会図書館所蔵の宗家文書の遠隔複写を利用せざるを得なかった。 史料調査が進められなかった分、これまでに収集していた訳官記録の史料や、遠隔複写で収集した史料の読解・分析に努め、関連する研究会で2回の報告(「訳官記録書付一覧からみる対馬朝鮮関係」『訳官使・通信使とその周辺』第7回研究会、2020年10月3日;「『御養君建儲』をめぐる書契問題の検討」『訳官使・通信使とその周辺』サブグループ第3回研究会、2021年3月27日)と1本の原稿を活字化した(「訳官記録書付一覧からみる対馬朝鮮関係」『訳官使・通信使とその周辺』第3号、2020年)。 対馬宗家文書の「訳官記録」群のうち「訳官記録」に収録されている「書付一覧」に注目して分析した結果、書付一覧の変化から当時の対馬と朝鮮とが抱えていた課題・問題(密貿易や銀・銅のやりとりなど)を窺うことができ、対馬藩における訳官使接遇をめぐっては、延宝9年=天和元年(1681)と宝永3年(1706)に大きな画期があったことを明らかにできた。とはいえ、以上は膨大な史料群のごく一部分の分析に過ぎず、引き続き史料分析が必要である。 なお、当年度に行った史料読解・分析の結果、これまで行ってきた韓国国史編纂委員会での史料調査に収集漏れがいくつかあることも判明した。今後、予定の調査に補充調査を加える必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により韓国での史料調査ができなかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、訳官使関連の史料の多くを所蔵している韓国国史編纂委員会での史料調査の遂行が必須のため、日韓両国が行っているコロナ禍による渡航制限の影響をもろに受けてしまう。渡航条件を見据えながら、引き続き史料の読解・分析に努める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた2度程の韓国出張、ならびに国内研究会ができず、旅費の使用ができなかったため。2021年度もコロナ禍の状況次第だが、調査出張が行える状況となれば注意深く実施したい。
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Research Products
(3 results)