2021 Fiscal Year Research-status Report
日本ジャーナリスト会議(JCJ)の戦後ジャーナリズム史研究
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20K00988
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
根津 朝彦 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70710044)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レッドパージ / 朝鮮戦争 / 信夫韓一郎 / 民放転身 / 従軍特派記者 / 社是 / 日本新聞協会 / 個人主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、レッドパージと朝鮮戦争に焦点を絞った戦後ジャーナリズム史研究を進めた。具体的には「レッドパージと朝鮮戦争をめぐる報道界・記者研究の断章」の論文準備と執筆を中心に行った。通信社ライブラリーで計4回の資料調査を行い、その他にも関連文献を購入し、各報道機関の社史や報道関係者の文献を多数収集して、読み込んだ。 1950年の報道界のレッドパージにおいて主要紙、NHK、地方紙の動向(『朝日新聞』編集局長の信夫韓一郎といった編集幹部の動静を含め)と、同時代の講和論争を押さえ、レッドパージ後の反共主義的な報道界の姿勢が、同年10月の新聞週間の社是に集約していく様を位置づけた。また解雇者の生き方は苦難を伴ったが、元NHKの小山帥人氏に聞書き調査を行った上で、一部、民放へ転身した者などをフォローした。 これまで報道界のレッドパージと朝鮮戦争の相互関係は意外なことに研究が少なかったが、同時代の朝鮮戦争期の報道の特徴を明らかにすることで、報道界のレッドパージと朝鮮戦争の間に交差しづらい非対称性があったことを掘り下げた。朝鮮戦争下のレッドパージの内実は、大勢の人生を狂わせただけでなく、報道界の言論の自由を内部から空虚なものとする深刻な影響をジャーナリズムに及ぼしたのである。本研究の論文はすでに執筆を終え、2022年度内に掲載予定であるが、既存の報道界のレッドパージ研究を刷新するものになる。 その他の研究として、山本昭宏『戦後民主主義』(中公新書、2021年)の書評報告を行い、書評論文「個人主義をめぐる攻防と男たちの言論界」にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
報道界のレッドパージと朝鮮戦争の研究では、一次資料が少ないこともあり、成果をまとめるのに時間がかかった。しかし、今年度の研究を通して報道界でパージされた者が、日本ジャーナリスト会議で主要な人脈を形成することが明確となった。本研究が焦点とする日本ジャーナリスト会議の前史と人間関係を明らかにする上では大きな進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本ジャーナリスト会議の前史は、これまでの研究計画に記した文献を着実に読み進めることを含めて、明らかにできた。次年度はいよいよ日本ジャーナリス会議の機関紙『ジャーナリスト』の分析に入ることができる。日本ジャーナリスト会議は同時代において海外のジャーナリストの国際会議に記者たちを派遣しており、そのプロセスを位置づけるためにも、コロナ下で海外調査に行けるかは情勢次第にせよ、可能であるならば海外調査も実施したい。
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Causes of Carryover |
コロナ下で出張調査に制約があったため、使用計画としては今後の研究の推進方策に記載した文献を中心に購入する。
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Research Products
(4 results)