2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K00989
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
齊藤 紘子 (山下紘子) 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80736942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小藩 / 藩領社会 / 陣屋 / 陣屋元村 / 地域社会 / 都市大坂 / 家中 / 武家奉公人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度に続いてコロナ禍の影響をうけ、引き続き学外での史料調査などはあまり実施できなかったが、2020年度から開始した伯太藩の陣屋元村である和泉国泉郡伯太村の旧庄屋家・青木家旧蔵の古文書(和泉市教育委員会所蔵)について、引き続き和泉市史編さん室での史料調査・撮影とその分析を行い、近世後期の陣屋元村の社会構造について一定の見通しを得ることができた。特に、近世後期には村内の都市化に伴う人口流入が活発となり、村方人別のほかに多数の出稼ぎ人なども確認できること、そうした村落状況のなかで、村政の取り締まりを担う庄屋家と村方との間で騒動が起こったことなどについて具体的に検討し、陣屋元村ならではの都市的な村落状況を把握することができた。その途中経過については、2020年度末に国際オンラインセミナーを共催し、そこで研究報告を行ったが、2022年度は、その内容をもとに論文を執筆する準備にも取り組み、2022年度早々に執筆を終え、掲載先の編集事務局へ原稿を提出する予定である。 一方で、本科研の研究計画においてもう一つの柱として取り組む予定であった領内村々の未調査史料群についての調査は、コロナの感染収束状況が思わしくなく、2021年度も所蔵者の方や地元の自治体との交渉などが進められないまま推移した。本科研の課題は2023年度が最終年度となるため、残りの期間で何をどこまで調査できるのか、改めて再検討が必要な段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研の課題であった譜代小藩領のあり方については、その拠点であった陣屋元村や都市大坂との関係などについては、史料調査・分析を行うことで、一定の成果を得ているが、領内の地域社会については、新たに取り組む予定であった未調査史料群の整理・調査が、コロナの影響のために着手できない状況が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、これまで調査・分析を進めてきた陣屋元村伯太村の青木家文書について、引き続き検討を行い、今年中に論文を公表できる予定である。そこで一定の見通しを示したうえで、さらに史料群全体の内容把握を行っていくつもりである。また、それ以外の未調査史料については、今後の調査計画を立て直す必要があり、状況をみながら2022年度中に判断を行いたい。こうした状況の中で、当初の研究計画では、和泉国をはじめとする畿内の他の譜代藩や小藩領のあり様との比較を行う予定を立てていたが、これについては小田原藩領の村々(飛び地領、摂津国)についての検討などを組み込む予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた府内での史料調査(旅費)を、コロナ感染拡大などの状況から延期したため、執行できなかった。その分の調査については、2022年度に実施する予定である。
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Research Products
(2 results)