2022 Fiscal Year Research-status Report
北欧自由基督教宣教団と戦後期日本の社会文化史-グローバル地域文化交流史の記録化
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20K00990
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大谷 渡 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (80340644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋寺 知子 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (70257905)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フィンランド人宣教師と戦後日本 / スウェーデン人宣教師と山梨 / 日本人青年の精神世界と国際交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度(2022年度)は、1950年代から山梨県において、キリスト教ペンテコステ派の伝道を行った北欧の宣教師、特にスウェーデン人宣教師たちの足跡を、実地調査にもとづく口述資料と文字資料の収集分析によって明らかにした。山梨県に入ったスウェーデン人宣教師たちは、戦後中国共産主義革命から逃れ台湾を経て京都に入ったフィンランド人宣教師や、同じく中国から台湾を経て福井に入ったノルウェー人宣教師たちと協力しながら宣教を進めた。 その足跡を追究する過程において、スウェーデン人宣教師たちが入った山梨県甲府市と同県中巨摩郡櫛形町(現・南アルプス市)、並びにスウェーデン人宣教師が生まれ育ち彼らを派遣した教会の所在する街の歴史・社会・文化・産業などに照明を当てて考察することにより、遠く離れた北欧と日本の文化交流の実相を浮かび上がらせた。 なお、本年度取り上げたスウェーデン人宣教師の出身地は、トラナス・ボーレンゲ・ソルベスボリ・ヨーテボリである。また、ノルウェー人女性宣教師と日本で結婚した建築家のスウェーデン人宣教師は、山梨県塩山市(現・甲州市)において伝道を行ったことが明らかとなった。 研究成果の発表ついては、2022年6月、同年11月、2023年3月の計3回にわたり、グローバル日本史研究会を開催して口頭発表及び研究討議を行い、2023年3月に『日本近現代史研究』第9号を発行して論文を掲載した。 フィンランド人宣教師たちについての研究は、1950年代初めに京都に入った宣教師夫妻の孫にあたる宣教師夫妻と数度にわたる会合をもって意見交換し、2023年度におけるフィンランドのヘルシンキ、及びカンガスニエミにおける実地調査の準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題採択初年度2020年度は、世界的なウイルス禍の拡大が始まった年である。初年度以降、北欧での文字資料と口述資料の収集が実施できず、国内の調査もままならない状況が続いた。それにもかかわらず、FFFM (Finnish Free Foreign Mission)の全面的な協力によって、思いもよらない成果をあげることができた。 特に1950年代に台湾を経て来日した最初のフィンランド人宣教師夫妻の孫夫婦と親しく交わる機会を得たことが大きく研究を進展させた。また、京都における1950年代と60年代の熱心な入信者から口述資料や当時の文字資料、及び写真等の提供を受け、教会関係者からも初めて知る史実であると、高評価をいただける成果を得ることができた。 最初に来日したフィンランド人宣教師夫妻には、フィンランドにおいて出版したフィンランド語の著書がある。夫の著書『KAUNISSAARI JA NIPPON』(『美しい島と日本』)は、夫妻が台湾を経て来日する過程や日本で伝道を始めた初期の様子が記されている。妻の著書は、彼女の父の生涯を綴ったものであり、フィンランドのペンテコステ派宣教の歴史と同時代の社会や文化を知る上での貴重な資料である。これらの著書は、孫夫婦から提供を受けたものであり、丹念に読解を進めている。 2022年度におけるスウェーデンミッションに関する研究の進展は、1950年代の入信者が甲府市内の書店で『北欧から来た宣教師――戦後日本と自由キリスト教会』(大谷渡著、東方出版刊、2018年)を買って読んでくださったことがきっかけとなった。年度当初にそのことをFFFMの宣教師から伝えられたことにより、スウェーデン人宣教師の伝道による甲府市在住の初期入信者、及び50年間山梨県中巨摩郡で伝道に従事してきたスウェーデン人宣教師から貴重な文字資料と口述資料、写真等の収集を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、年度当初から、山梨県と東京において資料の収集を進めるべく準備を進めていて、同地のスウェーデンミッションに関する調査を6月に行う手はずを整えている。7月には、グローバル日本史研究会を開催し、山梨・東京における研究調査の状況を報告するとともに、8月におけるフィンランドのヘルシンキとカンガスニエミ、スウェーデンのヨーテボリにおける研究調査実施に関する検討会を行う予定である。 11月初めのグローバル日本史研究会では、夏期実施のフィンランドとスウェーデンにおける研究調査の成果報告を行うとともに、12月における台湾での研究調査と国際シンポジウム開催についての計画検討会を行う予定である。 2024年1月以降は、研究期間全体を通しての研究成果の吟味、及び取りまとめを進め、『研究報告集』発行の準備を進める。3月はじめにはグローバル日本史研究会を開催し、研究成果の点検と討議を行い、同月末に『研究報告集』を発行する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題採択初年度の2020年からの世界的なウイルス禍の拡大のため、国内及び国外への出張が不可能となり、一昨年度までは国内出張の自粛状態が続いた。国外出張についは、昨年度も非常に困難な状況にあった。このため、北欧及び台湾における研究調査が実施できず、その費用のすべてを次年度使用とせざるをえなかった。本年度は外国出張が可能となったので、当初の使用計画に沿って執行する。
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Research Products
(10 results)