2020 Fiscal Year Research-status Report
Reconstruction of the History of Japan's Opening: Analysis of International Rivalries over the "Frame" of Opening
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20K00996
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
福岡 万里子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50740651)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本開国史 / 日米関係史 / 日蘭関係史 / タウンゼント・ハリス / ドンケル・クルチウス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は前半に、上述したハリスの発信書翰群を収めるレターブックの解読を集中的に行った。同レターブックは5冊あり、昨年度までに第1冊~4冊の解読を終了していたので、今年度は5冊目の解読を進め、6月末までに最後の頁まで翻刻・分析作業を行い、もってレターブック全5冊の解読が終了した。これは日本開国史をめぐるハリスの動向に関する根本史料となる。 その後、ハリスが来日前に行ったシャム(タイ)との条約交渉について、ハリス文書中の受信書翰群中にある関係史料の解読・調査を進めるとともに、それらのうちの難読史料について、海外の業者に解読を発注し、翻刻データを入手した。 今年度後半は、上記の作業を通じて翻刻が揃った史料群が含むテーマ群のうち、ハリスが来日前に行ったシャムとの条約交渉に焦点を当て、それらの関係史料を調査・吟味し、かつ対シャム条約交渉に関するイギリスの史料や関係文献も収集・調査した。それらの成果に基づき、論文「米使ハリスの1856年対シャム条約交渉-バウリングの経験との比較から」を執筆し、3月までに『国立歴史民俗博物館研究報告』特集号「近世近代転換期東アジアの外交と通商-海域世界の秩序変動(仮)」の一論文として投稿した。2021年4月現在、査読中である。 今年度はこの他、オランダ国立公文書館のデータベースで、幕末の駐日オランダ代表ドンケル・クルチウスの史料を調査し、1858年、日米修好通商条約の調印前夜におけるクルチウスの発信書翰群を特定し、それらの画像データを入手した。その後それらの解読を海外業者に発注し、翻刻データを入手して、次年度以降、関連調査を開始する準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、新型コロナウィルスの流行により、海外における史料収集は行えなかった。しかしその代わり、これまでに既に複写データを入手していたが解読調査が進んでいなかった史料群の調査を相当程度進めることができた。またパンデミックの状況を受けて、イギリスやオランダの国立公文書館は、オンラインでの史料データ公開の範囲を大幅に広げた。その結果、日本にいたまま、研究に必要な史料(1855年英シャム条約交渉や1858年日蘭交渉に関する史料)のデータを、全てではないが入手することができ、それらを使って研究を進めることができたのは、新たな展開である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新型コロナウィルスの感染状況がどのように推移し、現在ほぼ不可能な海外渡航による史料調査がいつ頃から再開できるようになるかは、現在のところ見通せない。従って当面は、これまでに既に複写データを入手済みの史料群を最大限活用していくとともに、国内で入手可能な史料群や、海外所蔵でもオンラインで入手可能な史料群や諸文献を、可能な限り収集・調査しながら、研究を推進していきたい。幸い、本研究にとって最も重要なニューヨーク市立大学所蔵ハリス文書は、既に写真帳の形で大部分の複写を入手済みであり、その中でも重要度の高いハリスの発信書翰群の翻刻は既に終えた。次年度以降は、ハリスの対日交渉に関する日本側史料群の調査に重点を移しつつ、ドンケル・クルチウスやオールコック、シーボルトなど、日本開国史をめぐるその他の重要な登場人物たちの関係史料の調査も、併行して進めていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウィルス流行の影響で、予定していた海外調査が行えなかったので、旅費の支出が大幅に減った。その代わり、史料翻刻の発注や史料・文献の購入などを増やしたが、旅費に予定した額全てには満たなかった。 来年度も同様の状況が続く可能性が相当程度あるが、引き続き、一連の史料翻刻の発注を予定しており、次年度使用額は問題なく支出することになる見込みである。
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Research Products
(5 results)