2021 Fiscal Year Research-status Report
オランダ植民地期インドネシアのバティック産業と地域社会
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20K01013
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
赤崎 雄一 和歌山工業高等専門学校, 総合教育科, 教授 (10342536)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バティック / インドネシア / 綿織物 / 蘭領東インド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植民地期インドネシアのバティック(ロウケツ染め)産業に関する先駆的な歴史研究であり、世界市場の動向、生産地の地域的差異を重視しながら、バティック産業に関する新たな歴史像を提示することを目的としている。具体的には、第一に、オランダ植民地期のジャワ島中部、北海岸地域のバティック産業の成長を他地域と比較しながらその地域性を踏まえて検討する、第二に、それぞれの地域のバティック企業と労働者との雇用関係に注目し、バティック企業の動向が地域社会にどのように影響したのかという問題を検討する、第三に、バティック産業と地域経済の状況からオランダ植民地政庁がどのような政策をとり、それが地域社会にどのように影響したのかという問題を検討することである。 その研究計画において、特に重要になるのが新史料の収集であり、初年度にオランダで、二年度にインドネシアで資料調査を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症の流行により、それを延期した。ただし、オランダで刊行されていた新聞類などについては一部Web上で公開されているため、その資料調査を行った。また、日本製綿布の流入に関する資料などを国内の図書館から収集した。 これらの史料を利用し、第三の目的に関する、1930年代のスラカルタを中心としたバティック産業の状況と日本製綿製品との関係、オランダ植民地政庁の政策の変容についてまとめた論文「世界恐慌期インドネシアのバティック産業」を執筆した。この論文は学術雑誌に投稿済みで、今年度末の掲載が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述したように、当初に計画していたオランダ、インドネシアでの史料調査ができていないため、進捗状況は遅れている。しかし、国内の史料、Web上で公開されている史料など、できる範囲で調査を進めた。それにより、1930年代のスラカルタを中心としたバティック産業の状況と日本製綿製品との関係、オランダ植民地政庁の政策の変容についてまとめた論文を執筆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の新型コロナウィルス感染症の流行を考えると、今後の研究について見通しを立てることはまだすこし難しいが、可能であれば、来年度中に延期していたオランダでの史料調査を行いたい。その後、史料の分析、インドネシアへの調査が必要であるため、研究期間の延長手続きを行い、次年度、継続して本研究を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の流行のため、大幅に研究計画を変更することになった。当初の研究計画では1年目にオランダへ、2年目にインドネシアへの資料調査を計画していたが、実施できなかった。前述したように、可能であれば1年、研究期間を延長して、史料調査を行いたい。
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