2021 Fiscal Year Research-status Report
The Southern Proslavery Thoughts and the Civil War in the 19 Century America
Project/Area Number |
20K01049
|
Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
朝立 康太郎 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (80513762)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 奴隷制擁護論 / 連邦制 / 南部奴隷州 / トマス・クーパー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究(19世紀アメリカ合衆国の奴隷制擁護論に注目した南北戦争の思想的背景を巡る研究)を遂行するにあたって、2年目となる21年度は、アンテベラム期において連邦離脱論をけん引したサウスカロライナ州の動向に注目し、同州における連邦離脱論と奴隷制擁護論の関係性について、準備的考察を行った。 とりわけ注目した時期や対象は、いわゆる「関税論争」が連邦政治において争点化する1820年代から30年代初頭であり、この時期に連邦離脱論と奴隷制擁護論の理論的な土台を準備したといわれているトマス・クーパー(1759‐1839)の言論である。それというのも、クーパーはイングランド生まれの政治的急進主義者(共和主義者)であり、フランス革命を現地で経験した後にアメリカに事実上の亡命を果たした人物であり、こうした人物の言説の注目することで、本研究の目的である、アンテベラム期における南部知識人の思想的背景にアプローチすることができると想定されたからである。 先行研究上では、当初は奴隷貿易や奴隷制に批判的であった共和主義者クーパーが亡命後に奴隷擁護論者となる矛盾や「変節」が批判されるが、彼の言論にある功利主義的な志向や国制観を併せて考えることで、その理路を整理することができた。なお、この成果の一部は2021年10月に行われた研究会で報告(「アンテベラム期の南部奴隷州における「人民」と「主権」―1820年代のサウスカロライナ州への注目―」)し、また西南学院大学国際文化論集第36巻第1、2号に論文(「アンテベラム期の国制理解を巡る考察―アレクシス・トクヴィルとトマス・クーパーを中心に―(上・下)」)として掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染症対策による海外渡航の制限により、初年度に続いて2年目も計画していた現地(アメリカ合衆国)での資料収集が不可能となったため、国内において実行可能な研究作業に切り替えた。これにより、当初計画(初年度に資料収集を行い、2年目以降に資料分析と成果作成を行う)の大幅な変更が迫らている状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
3年目となる2022年度に資料収集を目的とした渡米を計画している。現時点(2022年5月)では、感染症対策に伴う渡航規制も緩和される傾向にあるため、本年度における資料収集の実現可能性が高いと考えている。とはいえ、当初計画が2年目まで十分に遂行できなかったことから、資料分析やその結果をまとめ作業も後ろ倒しになる見通しが強い。従って、今後は研究期間の延長を申請し、可能な限り当初計画に沿った形での遂行を目指したい。
|
Causes of Carryover |
感染症対策により海外渡航が制限されていたために、初年度に計画していた海外渡航による資料収集が実施できなかった。これにより、当初計画が後ろ倒しとなり、次年度使用額が発生することになった。
|
Research Products
(5 results)