2024 Fiscal Year Annual Research Report
古代ローマのアリメンタ制度(子弟養育制度)に関する研究
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20K01050
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| Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
飯坂 晃治 別府大学, 文学部, 教授 (30455604)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | 古代ローマ / イタリア / 都市 / 官僚制 / 救貧制度 / ラテン碑文 |
| Outline of Annual Research Achievements |
2024年度は、ひきつづきアリメンタ制度(子弟養育制度)の目的に関する考察をおこなった。近年のDal CasonやRoncagliaなどの研究は、アリメンタ制度から手当を支給された子供たちが貧困層に属していたとは限らないとし、同制度が近代的な救貧制度とは比較できないものであると主張する。またこれらの研究は、基金から貸与を受けていた土地所有者が富裕層であったことから(この点は日本でも坂口明氏によって指摘されている)、同制度の目的が都市エリートに関わるものであることを指摘している。基金が皇帝の出資により設定されたことに鑑みれば、昨年度の報告書でも述べたように、少なくともアリメンタ制度実施の目的のひとつには、都市ないしは都市エリートと皇帝権力との結びつきの強化があったことが確認できる。 しかし、そのエリートについてもう少し踏み込んで考察するならば、ウェレイアのアリメンタ碑文に挙げられている土地所有者は、富裕層のなかでも中下位の者たちの数が多い。加えて、アリメンタ制度の受給者に関するWierschowskiの次のような指摘も重要である。すなわち、ウェレイアではアリメンタ基金から貸与を受けた人物の最小の土地所有は50,000セステルティウス(以下HS)で、その人物はこの土地評価額の8%にあたる4,000HSを基金から借り入れ,年間200HSの利子を支払うことになる。もしこの人物に男児がいて,その男児がアリメンタ制度の受給者であったならば、その男児は毎月16HS,年間で192HSを受け取ることとなり,年間に親が支払う利子とほぼ変わらない額になる。こうしてみると、アリメンタ制度において、基金から貸与を受けて利子を支払う人と手当を受ける人との間に「線引き」がおこなわれているようにも見える。ここに、同制度の目的を読み解く鍵が隠されているように思われる。
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