2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01091
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大橋 泰夫 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (80432615)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 地方官衙 / 国府 / 国庁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「考古学的に平安時代後期の国府の構造を明らかにする」ために、全国すべての国府を対象として進めている。研究の方法としては主に考古学的に平安時代後期を中心とした国府の構造について、建物を中心とした遺構、土器類や瓦類などの出土遺物の分析を通して検討することを目的として進めている。そのため、本研究ではできるかぎり、各地の国府跡について、現地において出土遺物の資料調査を実施し、遺跡の立地や遺構のあり方を具体的に遺物とともに検討することにしている。 初年度である令和2年度は、まず全国各地の国府跡の発掘調査状況および七道駅路との関係の把握に努め、発掘調査報告書を中心とする文献資料の収集を実施した。2年目にあたる令和3年度については、陸奥国府・多賀城跡、出羽国府関連遺跡の秋田城跡、横手市造山官衙遺跡群(十足馬場遺跡)、岩沼市原遺跡(玉前駅家、玉前関推定)の発掘査現場を視察、出羽国府である城輪柵跡については出土遺物(土器類、瓦類など)の資料調査を行い、情報収集を行なった。出羽国府・城輪柵跡については出土陶磁器の分析から、9世紀前半から11世紀前半までの長期間にわたって、国府としての機能が続いていたことを確認した。出雲国府・日向国府については、昨年度に続いて遺構と遺物の検討を行い、国府としての諸施設の機能と存続時期について把握した。また、国府と駅路の関係について、山陰道と出雲国府などとの関係を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナまん延のため、当初予定していた県外における古代国府の変容に関わる資料調査について、中止にせざるを得なかったいくつかの国府関連の遺跡があった。そのために初年度に引き続いて、古代国府に関わる文献資料、とくに発掘調査報告書の分析を行いつつ、加えて、文献史学における平安期の古代国府の先行研究についても関連文献を収集し、これまでの先行研究成果と課題の把握に努めることを行なった。一方、陸奥国府である多賀城、出羽国府である城輪柵跡については、現地において平安時代における発掘調査の成果及び資料調査によって、これまでの研究成果とともに最新の研究成果を把握することができた。 2年度は、初年度に続いて平安時代後期の考古学、文献史学の研究成果をまとめる基礎的作業については順調に進んだが、新型コロナまん延のために予定していた古代国府に関わる遺跡の資料調査は一部にとどまり、当初の予定通りには実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、これまでに予定したが実施できなかった資料調査を含めて、研究に関わる資料調査、情報収集を行う方針である。ただし、コロナまん延のために移動制限がかかり、資料調査が難しい場合は、引き続いて国府とその関係遺跡に関わる先行研究、発掘調査報告書等の基礎的分析に力点を置いて、研究を進める方針である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由については、新型コロナまん延のため県外移動制限があって、予定していた県外の国府関連遺跡に関する資料調査については、計画通りに実施できなかった。そのために、当初予定したが、これまでに実施できていない県外の国府関連遺跡の資料調査、情報収集作業を現地において実施する予定である。ただし、所属機関である、島根大学のコロナ対応の移動制限によって、今年度も計画通りに資料調査が実施できない可能性もあり、その場合、翌年度以降に実施する計画である。
|
Research Products
(3 results)