2021 Fiscal Year Research-status Report
超・高密度三次元発掘記録法(悉皆的3D発掘)の開拓と展開を目指す実践的研究
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20K01100
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
中園 聡 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 教授 (90243865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 ひろみ 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (60887024)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 三次元計測 / 発掘調査 / 遺跡 / 情報考古学 / パブリック考古学 / SfM-MVS / 3D考古学 / 記録保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、実際の遺跡の発掘調査現場で、写真測量(SfM-MVS)による3D記録を調査のあらゆる場面に適用する実践的研究を実施した。手作業による実測を廃した「ペーパーレス発掘」を継続するとともに、刻一刻と変化していく調査過程の3D記録(SfM-MVSによる)に努め、各種デジタルデータの遠隔保存や3Dデータの遠隔解析なども本格的に実施した。将来の幅広い活用に堪える超・高密度データには、遺物取り上げ時の3D記録が欠かせない。そのため、現代土坑の石などを含む遺構と遺物を可能な限り等価に記録したが、3Dによるリアルで正確な記録・表示について、今年度までの蓄積でワークフローの基礎がほぼ固まったと考えている。また、調査の効率化や効果の測定に資するデータも得ることができた。なお、比較と可能性を探るため、携帯端末による迅速な簡易3D記録も一部で試した。 このような研究の過程では、様々な立場の人々との議論が必要であり、今年度も学会や現場をはじめ、機会をとらえて情報収集や意見交換、対話に努めた。それらを通じて、本研究に少なからぬ関心が寄せられていること、積極的に理解する動きがあることがますます実感された。また、研究分担者はパブリック考古学的研究・実践をするとともに、その際、定性・定量的なデータを取得し、議論するなどした。それらを含めて、本研究は遺跡調査における現状の方法を改善するだけでなく、また単なる調査時の精密な記録や効率化にとどまらず、従来の考古学のあり方の相対化など哲学的ともいえる考察が深まりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も新型コロナの影響により調査研究の実施に支障を来たすなどの困難があったが、苦心の末、年度内に発掘現場から新たなデータの取得に成功し、所期の目的に適う一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者、研究協力者と協力しつつ、本研究課題を遂行していく。これまでの成果と課題を踏まえ、すでに得られている生のデジタルデータの整理や解析等も進める一方、さらに追加的な発掘調査現場での実施により、詳細なデータを取得することにしている。これまで、新型コロナの影響をはじめ調査・研究の実施には様々な困難もあったが、それを含めて予期せぬ事態に対応する実践の機会ととらえ、柔軟に高度な成果を上げるつもりである。
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Causes of Carryover |
前年度より新型コロナの影響によって、調査実施時期や期間の変更などを余儀なくされているが、今年度も同様であったことに加え、予定していた研究機器等の調達や分析等に影響が出るなどしたためである。 それについては、様々な工夫と各方面の協力により最終的には年度内にデータの取得等ができ、概ね当初の目的を進行させることができたが、次年度も発掘現場での調査研究を追加的に実施することにした。それは、三次元計測とその応用をはじめとする機器・技術等は日進月歩であり、新たに検討すべき興味深い課題も生じており、より多くの成果を上げるためである。各種の調査研究と普及応用等に必要な経費を見込んでいる。
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Research Products
(18 results)