2022 Fiscal Year Research-status Report
銅鐸の鋳造欠陥、補修技術からみた弥生時代鋳造技術の研究
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20K01102
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
北井 利幸 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部学芸課, 指導研究員 (70470284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
わけびき 真澄 中部大学, 現代教育学部, 教授 (00534398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 鋳造欠陥 / 補修技術 / 弥生時代 / 青銅器 / 鋳掛け |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は弥生時代の青銅器のなかで主に銅鐸を対象に、①鋳造欠陥(湯引き、鬆など)の有無や生じた位置と原因の検討、②鋳造欠陥部分に施された補修技術(鋳掛け、補刻など)の方法の検討と分類、③鋳型素材の違いによる鋳造欠陥の差や補修技術の方法について再現実験を通して検証し、弥生時代の鋳造技術の体系的な変遷を明らかにすることを目的とする。実物資料の観察を中心とした考古学的検討と検証実験(湯引き、鬆などの鋳造欠陥の再現、鋳掛けの再現、補刻の再現、鋳型素材による製品に生じる差の検討など)の二つの視点から研究を進める。 令和4年度は辰馬考古資料館で銅鐸11点(流水文銅鐸4点:辰馬407・414号銅鐸、辰馬405号銅鐸、辰馬411号銅鐸(川島神後銅鐸)、袈裟襷文銅鐸7点:辰馬418・430・432号銅鐸、辰馬419号銅鐸、辰馬415号銅鐸(大阪空港出土銅鐸)、辰馬445・446号銅鐸)の調査を進めた。このうち川島神後銅鐸と大阪空港出土銅鐸の検討から鋳掛けを外側からおこなったことを確認し、内側から鎔銅を流すという説に対して問題提起をおこなった。このほか、小銅鐸の補修痕跡の確認、南あわじ市の松帆銅鐸の鋳造欠陥の調査、中国の商周代の青銅器の調査を進めた。検証実験については令和5年度に鋳掛け実験をおこなうことを研究分担者のわけびき氏と打ち合わせをおこなった。この中で鋳掛け実験用の鋳型の製作進め、中村銅鐸、川島神後銅鐸の検討成果を踏まえた実験をおこなうことでまとまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銅鐸の調査を進め、鋳掛けの具体的な方法について検討できた。また、実験用の鋳型の製作も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
辰馬考古資料館所蔵品の調査を進め、扁平鈕式銅鐸、突線鈕式銅鐸に残る補修技術の検討を進める。また、鋳掛けの実験を進め、外側からおこなったと考えた鋳掛けの方法の検証をおこなう。また、補刻についてもどの段階でおこなったかの検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により予定していた国内外の資料調査を実施できなかったため。
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Research Products
(2 results)