2021 Fiscal Year Research-status Report
古墳時代後期における畿内系埴輪と須恵器系埴輪の生産組織に関する比較研究
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20K01103
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
東影 悠 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部企画課, 指導研究員 (60470283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 元太 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任技師 (00838394)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 古墳時代 / 埴輪 / 手工業生産 / 生産組織 / 須恵器 |
Outline of Annual Research Achievements |
古墳時代後期の畿内では、他地域に系譜を有する須恵器工人が製作した須恵器系埴輪が認められる。本研究では、三次元画像による「同工品」分析により畿内系埴輪と須恵器系埴輪の生産組織を比較検討し、古墳時代中期以来の伝統的な畿内系埴輪生産組織の強固な基盤がある畿内に、なぜ須恵器系埴輪が展開したのかという歴史的背景を明らかにする。須恵器系埴輪の畿内への展開は地方から王権中枢への「上番」の実態を示す可能性が想定される。このように、本研究は考古資料の研究から古代日本の統治システムに実証的に迫ることを目的とする。 令和3年度は、奈良県で確認されている須恵器系埴輪であり、橿原考古学研究所附属博物館に所蔵されている大和郡山市額田部狐塚古墳出土埴輪の資料化を実施した。額田部狐塚古墳出土埴輪には、円筒埴輪のほか、蓋形埴輪があり、いずれも須恵器系の技術を元に製作されたものであることを明らかにした。適宜、メタシェイプを用いて精緻な三次元モデルを作成し、実測図に変えるとともに、ハケメパターンのデータ化も進めている。 また、畿内系埴輪の新出資料である櫛玉媛神社古墳の埴輪について実測及び写真撮影による資料化を行った。櫛玉媛神社古墳の埴輪には円筒埴輪、人物埴輪、動物埴輪があり、直線距離にして約8km離れた天理市岩室池古墳出土埴輪と酷似することを明らかにし、その成果を『青陵』第165号にて報告した。 さらに、畿内における古墳時代後期の埴輪を系統的に整理するとともに、後期の円筒埴輪編年を構築した。後期の円筒埴輪は、従来詳細な製作技術にもとづく編年の構築が課題であったが、突帯の製作技術、底部調整の比率、突帯間隔の標準偏差によって編年が可能であると明らかにし、その成果を『埴輪検討会シンポジウム 円筒埴輪の分類と編年』に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、他機関への資料調査、また研究支援員の雇用等に制限が生じ、当初計画よりも研究対象資料の資料化に遅れが生じている。しかしながら、自機関で所蔵する資料を重点的に分析することによって、そうした遅れを補填する作業を実施した。また、研究の基礎となる後期の畿内系円筒埴輪の総体的な編年の構築が行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究分担者と共同で研究対象資料の三次元データ化と同工品分析を実施していく。特に、他機関の所蔵埴輪の資料調査を重点的に実施しすることとし、三次元データを作成するとともに、そのデータを元に同工品分析を実施する。 畿内系埴輪と須恵器系埴輪それぞれの代表的資料を対象として分析を実施することで、両者の製作技術的特徴・生産組織等を考察し、各埴輪生産の歴史的背景を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響によって他機関への資料調査、また学会発表等への参加が実施できず、旅費の支出が当初計画を大幅に下回った。他機関への資料調査、学会発表等は次年度以降に新型コロナウイルス感染症の動向をふまえながら実施する計画である。
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Research Products
(2 results)