2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01112
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
樋口 智寛 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 技術支援本部技術支援部計測分析技術グループ, 主任研究員 (50463063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新免 歳靖 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (40759156)
水本 和美 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (80610295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 陶磁器 / 有機物 |
Outline of Annual Research Achievements |
上絵付時の焼成に伴う糊と上絵具との反応を解明する一貫として、本年度は絵具、糊および焼成雰囲気との関連に着目した。これまでに、糊材の違いにより、焼成時に顔料やフリットから異なる化学成分が生成することが明らかにされ、この現象は、上絵が発色する色合いに差異が現れる可能性があることを示唆している。本年度は、種々の絵具や糊のほか、酸化・還元という上絵付焼成雰囲気の違いによる上絵具の成分変化に関する知見を獲得を目指した。 糊材として、ゼラチンとふのりを用い、水を加え、湯煎・攪拌し、糊溶液を調製した。顔料の変化を追跡しやすくするため、フリットを含まない顔料成分のみを使用し糊溶液と顔料を混合し、乾燥後、電気炉により800℃まで焼成した。焼成時に試料混合物を入れる容器への蓋の有無により、簡易的に焼成雰囲気を制御した。顔料の成分変化は、X線回折(XRD)分析により確認した。 その結果、焼成に伴って顔料は還元される傾向がみられ、糊材としてゼラチンを用いた場合や、簡易的な還元雰囲気における焼成によっても、一層進行することが明らかとなった。糊種のほか、窯内の不均一性によっても上絵層の化学成分に差異が発現し、上絵の色合いにも違いが現れる可能性があると示唆される。 本年度の計画では、1.上絵層の詳細な形態・色彩・熱化学的知見等、2.XAFS等による上絵層の解析、結合等の構造に関する情報、3.考古学的知見との整合性を検証 を実施、有機物である糊という視点も加えた陶磁器の装飾技法の発展経緯の明確化、その経緯に則した材料の選定、伝統技術の伝承のための提案を試みる予定であった。 本年度の実施内容は、都合により、上絵付焼成時の雰囲気と上絵層の成分変化との関係に関する知見を得るにとどまり、予定していた研究をほぼ遂行できない状況となった。そのため、来年度へ繰り越して実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
都合により、予定していた内容について、一部しか遂行できない状況となった。そのため、未達項目を来年度へ繰り越して実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の絵具や糊との組み合わせによる糊が発現する効果について、総合的な知見を獲得する。 1.種々の絵具や糊との組み合わせによる上絵層の詳細な形態・色彩・熱化学的知見等 2.XAFS等による上絵層の解析、結合等の構造に関する情報 3.考古学的知見との整合性を検証 有機物である糊という視点も加えた陶磁器の装飾技法の発展経緯の明確化、その経緯に則した材料の選定、伝統技術の伝承のための提案を試みる。
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Causes of Carryover |
都合により、予定していた研究を遂行できない状況となった。そのため、来年度へ繰り越して実施する。
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Research Products
(1 results)