2023 Fiscal Year Annual Research Report
鑑賞支援サービス充実のための、学芸員向け映像自作ワークショップの開発
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20K01120
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西岡 貞一 筑波大学, 図書館情報メディア系(名誉教授), 名誉教授 (60436285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 佳苗 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (60334570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 映像制作 / 博物館 / 学芸員 / 映像制作ガイド / ひな形 / ギャラリートーク / 博物館情報・メディア論 / メディア教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では学芸員自身が博物館で使用する映像を自作するスキルと知識を習得するための映像制作ワークショップの開発を目指している。映像の専門家ではない学芸員が業務として映像を自作するためには、映像制作の学習項目の習得容易性が重要となる。本研究では、専門家により制作された映像の構成や映像文法などを分析し、習得容易性が高く、鑑賞支援や解説への活用性の高い学習項目を抽出した。具体的には日曜美術館(NHK)、新美の巨人(テレビ東京)などのテレビ番組や、博物館がSNS上で発信している映像を収集・分析した。その結果、1)固定した被写体を固定カメラで撮影する。2)ナレーションやインタビューではなく、学芸員がカメラの前でギャラリートークを行う。3)ギャラリートークの内容を示す映像をインサートする。といった構成や映像文法に着目した。 2022年度は那覇市歴史博物館にご協力をいただき、ひな形映像の制作やワークショップを試行した。2023年度はその評価を行い、1)非来館者向け映像は博物館内で使用する鑑賞支援映像とは異なり、博物館の周囲や展示会場の様子を伝えるための状況説明カットが有効である。2)学芸員による映像の自作においてはドリー撮影やチルト撮影は難易度が高い。類似の表現効果には、編集時にキーフレームを用いることが有効である。3)学芸員による映像制作は、その専門性が生み出すストーリーの具体性や撮影対象へのアクセス性の高さ等により魅力的な映像が期待できる。といったことが示唆された。 東京都写真美術館にご協力をいただき、「ひな形」「映像制作ガイド」の開発をおこなった。その有効性検証のため、練馬区立牧野記念庭園にご協力をいただき、ワークショップを実施した。その結果、学芸員の持続的な映像制作に一定の寄与が期待できることが示唆された。今後は、館種や展示資料カテゴリーを拡大し、本手法の適用範囲の一般化を目指したい。
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Research Products
(1 results)