2020 Fiscal Year Research-status Report
ミュージアムの収蔵展示にみる保存と活用の越境的実践と文化財概念
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20K01125
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 謙一 金沢学院大学, 芸術学部, 講師 (10435539)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 収蔵展示 / 文化財の活用 / ヴィジブル・ストレージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に先行して学内研究費で着手した全国の美術・歴史系ミュージアム約1160館に対する収蔵展示の導入状況に関するアンケート調査によって導入館に関する基礎的情報の把握をひとまず終えることが出来た。この調査結果を受けて、本研究課題では近隣県の収蔵展示導入館のうち、館外に収蔵展示施設を有する事例として、富山県の氷見市文化財センターと砺波民具展示室を対象とした実地調査をおこなった。二つの施設は、前者が国の登録有形民俗文化財、後者が国の重要有形民俗文化財を中核コレクションとしている。前者は収蔵庫として使用している廃校の体育館を月1回程度の頻度で一般公開し、後者は使用中の小学校の一部を収蔵展示用に改修して常時一般公開をおこなっている。これらの調査結果から、対象文化財の位置付け・価値付けや形状、大きさ、さらに拠点となる博物館施設の専門分野にもとづく職員配置の問題、保管場所となっている当該地域における使用施設(小学校)の位置付け、地域住民の管理等への関わり方など多様な条件によって個々の収蔵展示の運営形態が異なることが明らかになり、次年度以降本格的に着手する実地調査における分析視角を具体化することが出来た。 これらの研究成果については、日本ミュージアム・マネージメント学会第25回大会(2020.11.01,リモート開催)において「ミュージアムにおける収蔵展示に関する基礎的研究~国内ミュージアムへのアンケート調査結果の分析から~]として口頭発表をおこなった。また、論文「ミュージアムの収蔵展示に関する基礎的研究」(金沢学院大学紀要 (19) 191-200 2021年3月)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
収蔵展示導入館への国内館と韓国の国立館への実地調査や展示施工業者等への聞き取り調査といった対面型の現地調査を当初計画していたものの、新型コロナウィルス感染拡大のなか、そのほとんどを実施することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き文献調査とコロナ禍でも移動可能な地域への実地調査を中心に進めつつ、可能な限り状況の改善を待ちたい。なお、申請時に予定していた韓国への海外調査については研究期間内での実施を見送らざるを得ないことも想定し、日本国内の事例の収集に注力しながらデータの充実と精度の向上を目指したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で当初予定した国内および海外調査がほぼ実施できなかったため。次年度はコロナ禍での感染対策に万全を期しながら、可能な限り国内調査のための旅費として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)