2023 Fiscal Year Annual Research Report
Scientific utilization of plant specimens collected by Herbarium Hajacawa and verification of sampling activities by plant hunters
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20K01127
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
東馬 哲雄 (大井哲雄) 岡山理科大学, 自然フィールドワークセンター, 准教授 (10376527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
邑田 仁 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (90134452)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 早川植物研究所 / 齋藤四郎治 / 早川佐七 / 植物標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度全ページスキャンした画像を元に、齋藤四郎治の植物採集旅行報告等を精査しているが、手書きかつ昭和初期の文章のため、詳細を読み解くことに時間を要しているが、本研究当初、標本に基づいて把握を試みてきた斎藤の採集活動の概要を把握することができた。最近の資料では、斎藤の研究所入所は「大正十二年三月」とされていたが、それは前職を退職した年月であり、入所年月は「大正十二年八月」であることが明らかとなった。また、入所直後の東北地方調査報告に付記された「希望事項」からは、斎藤自らは「植物採集員」とするも正式な肩書がなかったこと、また当初「早川植物研究所」という名称はなかったようで名称案を提案しており、標本に押された刻印「HERBARIUM HAJACAVA TOKYO 1924」との整合性がとれた。なお、「大正十四年八月」の報告より「早川植物研究所」と記されている。その他にも、報告では採集活動の実施状況に加えて、植物採取に対する考え方、標本作成等々について記されており、「早川植物研究所」の体制づくりに斎藤の貢献があったことが推察された。斎藤自身の採集活動の概要を見ると、初年度は東北地方に留まるも、大正十三年は四国九州、西多摩、北海道、日光尾瀬、伊豆、台湾、大正十四年は山陰・紀伊・伊勢、北九州、北海道・千島列島、五島列島・天草、大正十五年は台湾、北海道、朝鮮、北アルプス、東北地方(山形・秋田)、四国、九州、昭和二年は台湾・中国地方、南アルプス、奥羽地方、薩南諸島、昭和三年は台湾、紀伊・伊勢、択捉、薩摩・天草、昭和四年は九州・四国、利尻・樺太、台湾、そして昭和五年の屋久島、済州島が最後となっており、自由に研究をしたいと研究所を退所したことが明らかとなった。「早川植物研究所」の実体を把握するための資料としては、齋藤の植物採集旅行報告以外にはないと思われる。
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