2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on the contemporary views of "Japan" in Japanese art exhibits at museums outside Japan
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20K01130
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
鬼頭 智美 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 上席研究員 (80321553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Wozny Milosz 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 専門職 (20816813)
楊 鋭 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (00584476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 博物館学 / 外国人対応 / 多言語対策 / 展示学 / 日本美術史 / 海外展 / 国際交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は当初計画で2年目までに行うこととなっていたドイツ、イギリス、オランダへの現地訪問調査を実施した。ドイツでは、ミュンヘン、ベルリン、ドレスデン、イギリスではロンドンの国立博物館・美術館、オランダではアムステルダム及びデンハーグの国公立美術館を中心に、主に常設スペースを含め日本(芸術・文化)展示および館内の外国語による対応の状況を実地調査した。 いずれの博物館・美術館でも日本の展示は日本「美術」としてだけでなく、「文化」の紹介となっていた。古美術と言われる伝統美術品(文化財)を現代美術家あるいは現代工芸作家の作品とともに、技術あるいは共通するテーマの見せ方や取り組みの比較を提示するように展示構成している例は多く(ドイツ・フンボルトフォーラム、イギリス・大英博物館、V&Aなど)伝統文化と現代とのつながりをより明確に示そうとしているのが目についた。また、デジタル技術や映像をふんだんにつかっての解説が目立った。ドレスデンの陶磁宮殿では、展示ケースのQRコードを読むとその作品の3D画像が見られるようになっているものもあった。 多言語対応はコロナ以前と比較して各段に減っており、解説はその国の母語+英語のみで、以前は行われていた多言語による音声ガイドはほとんど見られず、代わりにQRコードで音声解説を1-2言語で行うのみとなっていた。また、多くの館がコロナ以前には中国以外でほとんど見られなかったQRコードを使用しての様々な情報提供を積極的に行っていた。 展示手法自体はこれまで行われてきた方法と大きく変わっていないが、デジタル情報の提供や映像を大規模小規模含め組み合わせて、より作品の周辺情報を伝える工夫が多くみられた。 そのほか昨年度完成した日本美術用語集の更新を進めており、欧米の専門家からの意見も取り入れ随時WEB上で更新する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年までの新型コロナウイルス感染症拡大防止政策により、海外訪問調査が実施できなかったが、昨年度までに当初計画の2年目までの調査対象国・訪問計画先で、ほぼ調査を実施することができた。 また、最終年度で予定した日本美術の解説のための用語集は暫定版を完成、出版、WEB上での公開も行った。現在、外部専門家の意見もうかがいつつ、用語を編集、追加して随時更新、WEB版を改良している。 国内調査については、現地調査がやや遅れているが、可能な限りWEBでの情報収集を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度で計画していた米国での調査は、最近の円安の影響もあり現状の交付額では難しい面もあるため、現地での調査にこだわらず、現地専門家へのメールによる資料提供依頼や必要に応じてTeamsなどオンラインでのインタビュー調査の実施を検討する。米国での現地調査に換えて、過去に日本から海外展としての日本古美術展を開催したアジアの国々のいずれかでの調査を実施し、日本美術・文化への関心の動向や普及の現状について考察する。 国内調査は、これまでに収集した資料の整理を進め、海外調査でこれまで収集した資料の翻訳と合わせて適宜公開する。また、日本美術関連用語集は、現在のものを適宜更新し、更新版を2024年内に公開、最終年度のとりまとめとしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止策のため、2022年度までに計画していた海外での現地調査が実施できなかった。 2023年度で2年目までの予定はおおむね終了したが、2024年度内に最終年度計画を見直し、本助成金の範囲内で実施する。
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Research Products
(1 results)