2022 Fiscal Year Annual Research Report
違憲審査における論証責任・論証度の役割と違憲審査基準論の再構築
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20K01272
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土井 真一 京都大学, 法学研究科, 教授 (70243003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸野 薫 香川大学, 法学部, 准教授 (70432408)
伊藤 健 弘前大学, 人文社会科学部, 助教 (40849220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 違憲審査基準論 / 憲法訴訟論 / 違憲審査制 / 論証責任・論証度 / 立法事実 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず令和4年度は、Kent Roach, Remedies for Human Rights Violations (2021) を素材として、違憲審査基準とレメディに関する研究会を開催した。令和4年5月14日に開催した第4回研究会では、土井真一が、同書第1章の前半を基に「救済の重要性と複線的構造について」と題した研究報告を行うとともに、松本哲治教授によって、同章の後半を基にした「救済の重要性と複線的構造について」と題する研究報告が行われた。また、令和4年9月30日に開催した第5回研究会では、岸野薫が、同書第2章を基に「個別的及び制度的な救済に対する複線的アプローチ」と題した研究報告を、そして伊藤健が、同書第3章を基に「仮の救済」と題した研究報告を行った。さらに、令和5年1月22日に開催した第6回研究会では、中岡淳助教によって、同書第4章を基にした「人権を侵害する法律に対する救済手段」と題する研究報告が、そして御幸聖樹教授によって、同書第5章を基にした「人権救済のための公法上の損害賠償の発展可能性」と題する研究報告が行われた。 以上の研究会を通じて、違憲審査基準や論証責任・論証度は実体問題との関係だけでなくレメディとの関係でも機能しうるという知見が得られた。 次に期間全体を通じて、土井は、研究全体を統括しつつ、違憲審査とレメディの関係について研究し、レメディにおいて一定の判断基準を認める可能性を検討した。また、職業選択の自由に関して最高裁判例が用いる違憲審査基準について分析し、研究成果を公表する予定である。 岸野は、19世紀末のアメリカにおける立法府と裁判所の機関間関係、及び最高裁判例の動向を踏まえて、James Thayerの違憲審査基準論に関する研究成果を公表した。 伊藤は、訴訟法学における証明責任・証明度に関する議論を踏まえて、違憲審査における論証責任・論証度の意義に関する研究成果の一部をすでに公表し、その続編を今後公表していく予定である。
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Research Products
(3 results)