2020 Fiscal Year Research-status Report
Law of Armed Conflict and Its Emerging Domain: Law of Space Warfare
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20K01312
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真山 全 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (80190560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 脩 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40323240)
川岸 伸 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (30612379)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際人道法・武力紛争法 / 宇宙法 / 宇宙戦 / 空戦 / 国際法 / 国際法規相互の効力関係 / 環境法 / スペース・デブリ |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙戦法規の研究は、(1)宇宙法等の他の国際法規則群との適用関係の検討(いわゆる平時国際法との適用関係)、(2)武力紛争法における新ドメイン形成可能性の検討(武力紛争法の陸海空の既存ドメインのうちの空戦法規に吸収されるか、それとも別の新ドメインかの問題)、及び(3)宇宙戦に関する具体的規則(害敵方法・手段、文民・民用物・環境の保護、捕獲封鎖等の経済戦)の検討の三段階に分かれてなされる。 2020年度では主に(1)について検討を行い、さらに(2)の一部の問題についても分析した。具体的には、論点整理を行った上で、「宇宙法と武力紛争法の抵触の検討」、「MILAMOS・ウーメラ・オスロ等の宇宙戦法規マニュアルの分析」、「宇宙空間の法的地位と武力紛争時のその保護」や「国際的と非国際的の武力紛争区分と宇宙戦」といった主題で研究会を開催した。 本年度の中心的主題である平時法との適用関係問題については、特に海洋法と海戦法規・航空法と空戦法規の関係が参考になるので、海洋法条約や空戦規則案等の起草時の議論を振り返った。海洋法と海戦法規の適用関係は、国家実行から相当程度のことが示されることも再確認された。空戦規則案ではこれが平時戦時二元論の時代に起草されたとはいえ、新しい武力紛争法ドメイン形成期にあって平時法との関係をどう捉えたかについて興味深い知見が得られた。 なお、人権法と武力紛争法の関係の議論はかなりこれらと位相を異にするとはいえ、その問題を扱ったICJ判例等も参考にした。こうして(1)についてはかなり整理できたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙戦法規研究の第一段階である宇宙法等の他の国際法規則群との適用関係についての理論的な分析に関する目途が立ち、研究第一年目の主要な目的を達した。また、第二年目になされる予定であった国際的と非国際的の武力紛争の区分問題の検討にも既に入ることができた。 コロナ禍で外国出張が困難となり、諸外国における調査ができていない。MILAMOSやウーメラ・マニュアルの起草者へのインタビューも未了である。これは状況の好転を待って行われるが、当面無理であればオンラインで実施したい。 他方、航空自衛隊法務の宇宙戦担当者等からの意見の聴取はオンラインにより相当に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では、初年度でなされた宇宙法等他の平時国際法規則群との適用関係に関してまとめて論文化する作業に入るとともに、第二段階の武力紛争法中の新ドメイン形成可能性問題の分析に本格的に着手する。 その際には、最初の新ドメイン形成といえる空戦法規の誕生時に海戦法規からいかなる影響を受けたかを1920年代の関係文書(特に空戦規則案起草過程の文書)を精査することで見てみたい。また1990年代において、結局、サイバー戦法規が武力紛争法独立ドメインとされるに至らず、単に害敵方法・手段の問題として処理されたことの理論的な説明も行う。 MILAMOS等の宇宙戦マニュアル作成過程ではこの新ドメイン形成問題それ自体があまり意識されておらず、そのため理論的な問題を多く残している。本研究では、その部分こそが重要であると認識し、2021年度はそれを中心に検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度支出が所要額として申請した額を超過しないよう慎重に使用したため僅かに1,374円が未使用となった。研究に本来必要な文献等を購入するに要する額は元々の科研請求額より常に大であって、次年度においても当然そうであるので次年度物品費等に充当して使用する。
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Research Products
(12 results)