2022 Fiscal Year Research-status Report
Reconstruction of the General Rights and Duties of the Spouses : a comparative view
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20K01384
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松久 和彦 近畿大学, 法学部, 教授 (90550426)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 夫婦財産制 / ヨーロッパ / 基礎的財産制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「基礎的財産制の現代的意義の検討」を中心に研究した。具体的には、①欧州各国の基礎的財産制を構成する諸規定に関する裁判例・実務の動向、②法改正に向けた議論について検討した。昨年度に引き続き、基礎的財産制を設ける欧州各国の体系書や注釈書における基礎的財産制に関する記述の分析、とりわけ、ドイツ語圏(ドイツ・スイス・オーストリア)の基礎的財産制の文献の収集、課題の整理を中心に進めた。 ①については、昨年度中に公表された書籍・論文内に、研究課題に触れるものがあり、検討を進めることができた。特に、日本における日常家事債務の連帯責任に関する問題については、ドイツの裁判例を分析することで、専業主婦を念頭に置いて展開されてきた法制度の運用がどのように変化してきたのか、婚姻形態・家族形態の多様化といった社会状況の変化に着目した整理を行うことができた。 また、②については、欧州各国の中からいくつかの国々を選び、各国の法律家等によって構成される学会・アカデミー等における議論を調査し、各国の法改正に向けた具体的な立法提案や提言等を検討した。法改正を実現した国やそうでない国もあるが、基礎的財産制の枠内において基本的な概念、制度とされてきたものの現代化に向けた議論の経緯を確認することができた。最終年度に向けて、改正状況およびその議論状況を継続的にフォローするとともに、基礎的財産制の現代的意義について研究の取りまとめを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツをはじめとするドイツ語圏の国々の基礎的財産制に関する文献調査に関しては、おおむね順調であり、法改正に関する議論状況を確認することもできた。また他のドイツ語圏の国々の文献や欧州各国の文献等も入手できたことから、欧州各国の検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響により、計画当初予定していた海外での実態調査については、再度検討することとした。また、ドイツ語圏の国々(ドイツ・スイス・オーストリア)における議論状況および法改正に関する議論を分析することで、あらかじめ検討対象等を明らかにし、可能になった場合には、海外での実態調査に活かしたい。
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Causes of Carryover |
一昨年度・昨年度に比べ、洋書の購入が進んだものの、海外での実態調査の対象を明らかにするまでには至っていない。最終年度の使用計画を変更し、昨年度収集した文献等の検討を進めることしたい。
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Research Products
(8 results)