2021 Fiscal Year Research-status Report
Violence and Party Politics in Mexico
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20K01467
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
馬場 香織 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (10725477)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メキシコ / 暴力 / 政党政治 / 組織犯罪 / 麻薬紛争 / ラテンアメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、メキシコにおける暴力と政党政治の関連を解明することを目的としている。2年目となる2021年度は、2018年のメキシコ大統領選挙および上下両院選挙における新興左派政党の勝利要因に関する論文を学会誌に発表し、研究会などでも成果の発信を行った。メキシコにおける左派の勃興をラテンアメリカ地域の政治史的文脈に位置付け直す意義を有しており、また組織犯罪をめぐる暴力の存在が人々の投票行動に党派的影響を与えていることを示唆した点でも、独自性を有する研究成果であったと考えている。 加えて、本分析から発展させる形で、2021年に実施された中間選挙(連邦下院および複数の地方選)における暴力の影響に関する分析を進めた。とくに同選挙で候補者の殺害などの暴力がもっとも多く報告された東部ベラクルス州の事例について、現地の調査会社から購入した政治的暴力に関するデータをもとに、暴力の地理的傾向と党派的傾向を中心に分析した。研究成果は複数の研究会で報告を行ったほか、メキシコ現政権の現状分析について一般読者向けの雑誌に寄稿して成果を発信した。 他方、予定していた現地調査には依然行けておらず、代わりにzoomなどを使ってオンラインでベラクルス州自治大学の研究者と情報交換を行った。また、同様の方法でミチョアカン州のアボカド検査官(アボカド産業は同州における組織犯罪の負の影響を大きく受けている)などへの聞き取り調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査の実施が遅れている制約があるが、オンラインツールの利用や、現地の調査会社から入手できるデータの活用によって、独自の分析を進めることができていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はなるべく早い時期に現地調査を行い、これまでに行ってきた分析の検証や、新たな調査を行うことを計画している。並行して、日本ではメキシコの全国紙のテキストデータをもとに、麻薬紛争や自警団に関する言説の変化の分析を進める。こうしたアプローチによって、メキシコの麻薬紛争をめぐる政治の様相を多角的に浮かび上がらせることを目指したい。
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Causes of Carryover |
予定していたメキシコ実地調査が実施できず、次年度の実施としたため。
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