2020 Fiscal Year Research-status Report
参加型予算と自治体内分権による復興行財政制度の構築に向けた実証研究
Project/Area Number |
20K01608
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
関 耕平 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (10403445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
除本 理史 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
井上 博夫 岩手大学, 人文社会科学部, 名誉教授 (50184768)
藤原 遥 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (50845352)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 復興政策 / 参加型予算 / 自治体内分権 / 地域自治組織 / コミュニティ再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「参加型予算」に基づいた機動的で柔軟な復興行財政制度の具体像と、地域自治組織に予算編成・決定権限の一部を委ねる自治体内分権のありかたを明らかにすることで、多様化・複雑化する被災者の復興ニーズに応える復興政策を実現することである。 被災地域では、地震・津波・原発事故など被災要因や時間経過によって復興に向けたニーズが多様化・複雑化し、従来型の画一的な行政対応では十分に応えられない状況にある。多様化・複雑化する被災者の復興ニーズと復興政策の実態との「ズレ」を補正していく仕組みとして「参加型予算」の有用性を実証し、これに裏付けられた機動的で柔軟な復興行財政制度を構築、普及する。 具体的な研究手順は、①被災自治体の復興予算編成および自治体内分権の実態把握、②調査結果に基づく自治体間横断比較、③「参加型予算」に基づく復興行財政制度のモデル析出、という三つに分けることができる。 初年度(2020年度)においては、①被災自治体の復興予算編成、自治体内分権の実態把握について、中越地震の復興過程における行財政支援についての現地調査を行ない、復興基金制度の使途に関する意思決定や運用実態に関する実態を明らかにした。また、自治体へのヒアリング調査の実施に先立って、調査項目のプロトコル:共通規格設定に向けて議論を行った。 さらに、島根県における地域自治組織の活動実態についての調査を行ない、裁量が地域組織に委ねられている予算額と規模、こうした予算編成のプロセスの実態、地方自治体の関与や協議の場の設定などについて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により現地調査の設定についての困難が予想されたものの、拡大の間隙を縫って中越地震復興に関する調査を設定することができた。また、外部講師を招いた研究会についてもオンラインで実施するといった工夫により、予定通り進めることが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について、当初予定の手順:①被災自治体の復興予算編成および自治体内分権の実態把握、②調査結果に基づく自治体間横断比較、③「参加型予算」に基づく復興行財政制度のモデル析出の3段階に則して進めていく。 具体的には、福島県内の原発被災地域の自治体のコミュニティ再生への行財政支援政策に絞る形で、南相馬市、飯舘村といった事例分析を重ね、比較検討を行うことで「参加型予算」に基づく復興行財政制度のモデル析出に向けた検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による影響により、一部の現地調査の中止したことで、旅費の執行が当初予定よりも少なくなったことによる。今後は調査可能な時期を逸することなく迅速な意思決定と調査設計をするとともに、外部研究者招聘による研究会開催などの別途構想するなど、計画的な執行を予定する。
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Research Products
(16 results)